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第四十八話 測定不能

レオンと恒一、そしてレヴは王都へ向かっていた。


目的地は昨日レオンが訪れた、王立魔術研究院。


レヴに掛けられた封印を調べるためだ。


恒一

「まさか研究院なんて行く事になるとはな」


レヴ

『俺もだ』


レオン

「原因が分かるなら安いものだ」


レヴ

『飛べるようになるならな』


三人は王都へ到着する。


巨大な白い建物。


王立魔術研究院。


王国最高峰の魔術師達が集まる場所だった。


レオンが受付を済ませると、測定室へ案内される。


部屋の中央には巨大な水晶。


床には複雑な魔法陣。


そして。


昨日の老人が待っていた。


老人

「来たか」


レオン

「ああ」


老人

「まずはレヴナントだ」


レヴ

『雑だな』


老人

「竜に敬称は付けん」


レヴ

『失礼な老人だ』


老人

「生意気な竜だ」


レオン

「相性が良さそうだな」


恒一

「確かに」


レヴは不満そうに鼻を鳴らしながら魔法陣の中央へ移動した。


老人

「始めるぞ」


魔法陣が光る。


巨大な水晶が反応する。


数秒後。


空中へ文字が浮かび上がった。


使用可能魔力


100


恒一

「少なくないか?」


老人

「少なすぎる」


レオン

「普通の飛行竜以下だな」


老人

「だから異常なんだ」


レヴ

『失礼だな』


老人

「これで生きている方が異常だ」


レヴ

『もっと失礼だな』


老人は眉をひそめる。


老人

「妙だ」


レオン

「何がだ」


老人

「何かが隠れている」


その言葉を聞きながら。


恒一は何となくレヴへ視線を向けた。


神眼。


異世界へ来た時に与えられた能力。


誰にも話した事はない。


レヴを見る。


すると。


今まで見た事のない詳細表示が現れた。


まるで測定装置と共鳴したかのように。


恒一

「……は?」


レオン

「どうした」


恒一

「いや」


表示された文字を見て言葉を失う。


【レヴナント】

種族:飛行竜

状態:封印

総魔力量:1,000,000

使用可能魔力:100

特殊能力:

《竜王因子》

発現率:0.1%


恒一

(百万……?)


竜王因子は知っている。


最初に市場で見た時から表示されていた。


だが。


総魔力量百万は初めて見た。


しかも。


その大半が封じられている。


恒一

(だから飛べないのか……)


老人

「何か見えたのか?」


恒一

「いや」


恒一

「何でもない」


危うく口に出しかけた。


老人は怪訝そうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。


老人

「封印術だな」


レオン

「ああ」


老人

「しかも異常な規模だ」


老人

「ここまで強力な封印は見た事がない」


レヴ

『解けるのか』


老人

「今は無理だ」


レヴ

『そうか』


少しだけ悔しそうだった。


老人

「次だ」


恒一

「俺か」


老人

「当然だ」


恒一

「何でだよ」


老人

「昨日も言ったはずだ」


老人

「封印術は対象との繋がりに影響する事がある」


老人

「竜だけ調べても意味が無い場合がある」


レオン

「関連があるのか」


老人

「無ければ測らん」


恒一は渋々魔法陣へ立つ。


測定開始。


水晶が光る。


100。


500。


1000。


3000。


10000。


老人

「ほう」


だが。


まだ止まらない。


50000。


100000。


300000。


レオン

「おい」


老人

「馬鹿な」


数字が上がり続ける。


恒一

「俺が一番驚いてるんだけど」


1000000。


さらに上昇。


バキッ。


水晶に亀裂が入る。


老人

「離れろ!」


恒一

「え?」


バキバキバキッ!!


次の瞬間。


巨大な水晶が砕け散った。


部屋に沈黙が落ちる。


恒一

「俺?」


老人

「……」


レオン

「……」


レヴ

『……』


恒一

「俺?」


老人は深く息を吐いた。


老人

「測定不能だ」


恒一

「は?」


老人

「そんな数値は記録に存在しない」


レオン

「あり得るのか」


老人

「あり得ん」


即答だった。


恒一

「いやいやいや」


老人

「少なくとも普通の人間ではない」


恒一

「人間だよ!」


レヴ

『怪しいな』


恒一

「お前まで!?」


その時だった。


恒一は何となく。


自分自身へ神眼を向けた。


今まで一度も見た事がなかった。


表示された文字。


恒一は固まった。


【神崎恒一】

種族:人間

状態:異界転移者

魔力:測定不能

特殊能力:

神眼

魔獣使い

特殊因子:

《龍王因子》

適合率:100%


恒一

(……は?)


龍王因子。


初めて見る文字だった。


神眼も。


魔獣使いも。


異界転移者も知っている。


だが。


龍王因子だけは知らない。


恒一

(何だよこれ……)


老人

「どうした」


恒一

「いや」


恒一

「何でもない」


反射的に誤魔化した。


今はまだ言うべきではない。


そう思った。


だが。


頭の中では別の言葉が引っ掛かっていた。


竜王因子。


龍王因子。


偶然とは思えない。


恒一は黙ってレヴを見る。


そして自分を見る。


何かが繋がりそうだった。


だが。


その答えにはまだ届かない。


老人は砕けた水晶を見つめる。


レヴナント。


封印された百万の魔力。


神崎恒一。


測定不能の魔力。


どちらも常識の外側にいた。


老人

「面倒な事になったな」


レオン

「ああ」


誰も気付いていなかった。


この一人と一頭が。


後に王国の歴史を変える存在になる事を。


― 第四十八話 終 ―

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