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第四十七話 王立魔術研究院

アレクシスと会った翌日。


恒一は朝から訓練場にいた。


恒一

「今日こそ飛ぶぞ」


レヴ

『毎日聞いている』


恒一

「今日は本気だ」


レヴ

『昨日も本気だった』


恒一

「うるさい」


レオン

「始めるぞ」


いつもの訓練。


いつもの失敗。


そう思っていた。


恒一は手綱を握る。


意識を集中する。


翼へ。


魔力を流す。


以前とは違う。


必要な場所へ。


必要な分だけ。


少しずつ。


確実に。


レヴ

『来ている』


恒一

「よし」


レヴ

『もう少しだ』


恒一

「行くぞ」


さらに魔力を流す。


翼が光る。


今までで一番強く。


今までで一番深く。


魔力が通る。


その瞬間だった。


レヴ

『っ!?』


レオン

「!?」


レヴの胸元が光った。


黒い光。


いや。


紋様だった。


一瞬だけ。


鱗の隙間から黒い模様が浮かび上がる。


まるで鎖のような紋様。


そして。


すぐに消えた。


恒一

「今の何だ?」


レヴ

『分からん』


レオンは答えなかった。


いや。


答えられなかった。


見間違いかと思ったからだ。


レオン

「もう一度だ」


恒一

「分かった」


再び魔力を流す。


レヴ

『来る』


恒一

「行け!」


翼が光る。


そして。


再び。


黒い紋様が浮かび上がった。


今度はレオンもはっきり見た。


鎖。


封じるための印。


レオン

「……」


恒一

「レオン?」


レオン

「訓練は終わりだ」


恒一

「は?」


レヴ

『まだ昼だぞ』


レオン

「終わりだ」


珍しく有無を言わせなかった。


恒一とレヴは顔を見合わせる。


その日の午後。


レオンは王都へ向かった。


目的地は競走協会ではない。


王立魔術研究院。


王国最高峰の魔術師達が所属する場所だった。


応接室。


白髪の老人がレオンの話を聞いていた。


老人

「黒い紋様?」


レオン

「ああ」


老人

「鎖のような形か」


レオン

「そうだ」


老人は少しだけ表情を変えた。


老人

「それは恐らく封印術だ」


レオン

「封印」


老人

「間違いない」


レオン

「何を封じている」


老人

「そこまでは分からん」


老人

「だが」


老人

「飛行不能」


老人

「機密指定」


老人

「黒い封印」


老人

「偶然とは思えんな」


レオンは黙る。


やはりそうか。


レヴは飛べないのではない。


飛べなくされている。


老人

「その竜を連れて来い」


レオン

「何故だ」


老人

「詳しく調べる」


老人

「それと」


老人はレオンを見る。


老人

「竜騎手もだ」


レオン

「恒一か」


老人

「封印術は魔力に反応する」


老人

「竜だけ見ても意味が無い場合がある」


レオンは少し考える。


そして頷いた。


夕方。


流星竜舎へ戻る。


恒一

「何だったんだ?」


レヴ

『説明しろ』


レオン

「封印だ」


二人が固まる。


恒一

「封印?」


レヴ

『俺がか』


レオン

「ああ」


恒一

「何を封印してるんだ」


レオン

「分からん」


レヴ

『分からんのか』


レオン

「だが一つだけ分かった」


恒一

「何だ?」


レオン

「お前は飛べないんじゃない」


レオン

「飛べなくされている」


沈黙。


風が吹く。


レヴは自分の翼を見る。


何も変わらない。


だが。


胸の奥が妙にざわついた。


レヴ

『……』


恒一

「レヴ」


レヴ

『分からん』


レヴ

『だが』


レヴ

『何かあるらしいな』


レオン

「ああ」


レオン

「だから調べる」


恒一

「どうやって」


レオン

「明日だ」


恒一

「明日?」


レオン

「王立魔術研究院へ行く」


その言葉に。


恒一とレヴは顔を見合わせた。


そしてまだ誰も知らない。


その検査で。


レヴナントの中に眠る異常な魔力核と。


恒一自身の異常性が明らかになる事を。


― 第四十七話 終 ―

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