第三十七話 魔力を操る者
翌日。
流星竜舎。
レオン
「今日は魔力操作訓練だ」
恒一
「魔力操作って」
恒一
「今までもやってなかったか?」
レオン
「やってない」
恒一
「え?」
ミリア
「やっぱり」
恒一
「何だよ」
ミリア
「アンタ」
ミリア
「魔力流してるだけでしょ?」
恒一
「違うのか?」
ミリア
「違う」
恒一
「違うの!?」
衝撃だった。
今までずっと。
魔力を流しているつもりだった。
それで十分だと思っていた。
レオン
「だから新人戦までしか通用しなかった」
恒一
「うっ……」
痛い所を突かれた。
ミリアはフェルドへ跨る。
ミリア
「見てなさい」
手綱を握る。
目を閉じる。
そして。
フェルドの身体が淡く光った。
恒一
「何だ?」
ミリア
「これよ」
レオン
「魔力制御」
ミリア
「流すんじゃない」
ミリア
「伝えるの」
恒一
「伝える?」
フェルド
『脚だ』
フェルド
『次は肩』
フェルド
『次は背中』
レヴナント
『細かいな』
フェルド
『当たり前だ』
恒一は言葉を失う。
今までの自分は。
大量の魔力を流していただけだった。
レオン
「飛行も同じだ」
恒一
「!」
レヴナントも反応する。
レオン
「翼へ魔力を流すだけでは飛べん」
レオン
「操る必要がある」
恒一
「だから飛べないのか」
レオン
「その可能性は高い」
レヴナント
『なるほど』
レヴナントの目が真剣になる。
飛べない理由。
初めて答えらしいものが見えた。
その後。
恒一も挑戦する。
恒一
「こうか?」
失敗。
ミリア
「違う」
恒一
「こうか?」
失敗。
ミリア
「違う」
恒一
「こうか?」
失敗。
ミリア
「違う!」
恒一
「難しいな!」
ミリア
「下手すぎる!」
レヴナント
『下手だな』
恒一
「お前どっちの味方だ!」
夕方。
ようやく少しだけ感覚を掴む。
レヴナント
『今のは良かった』
恒一
「分かるのか?」
レヴナント
『少しだけ』
レオン
「悪くない」
ミリア
「ようやく初心者卒業ね」
恒一
「厳しくない?」
ミリア
「優しいわよ」
恒一
「嘘だろ」
帰り際。
ミリアは振り返った。
ミリア
「E級初戦」
恒一
「ん?」
ミリア
「負けるんじゃないわよ」
恒一
「誰に言ってる」
ミリア
「新人戦王者に」
恒一
「任せろ」
ミリア
「その後」
ミリア
「もう一回勝負だから」
恒一
「受けて立つ」
ミリア
「絶対負けない」
恒一
「俺もだ」
二人は笑った。
ライバル。
友人。
まだどちらとも言えない。
だが。
確実に良い関係になり始めていた。
そして。
E級初戦まで残りわずか。
売れ残り黒竜と異世界人は。
新たな力を手に入れようとしていた。
― 第三十七話 終 ―




