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第三十話 勝者

競走場全体が息を飲んでいた。


写真判定。


巨大な魔導掲示板に結果が映し出される。


観客達が見守る。


恒一

「どっちだ……」


レヴナント

『分からん』


ガロン

「胃が痛い」


レオン

「黙って見ろ」


数分。


だが永遠にも感じた。


やがて。


実況が立ち上がる。


実況

「結果が確定しました!」


競走場が静まる。


実況

「新人戦優勝は――」


一拍。


実況

「レヴナントォォォ!!」


大歓声。


実況

「着差はハナ差!!」


実況

「ほぼ同着!!」


実況

「最後の最後で差し切ったぁぁぁ!!」


恒一

「勝ったぁぁぁ!!」


レヴナント

『勝ったな』


恒一

「お前もう少し喜べ!」


ガロン

「うおぉぉぉぉ!!」


レオン

「よくやった」


観客席は大騒ぎだった。


誰も予想していなかった。


失敗作と呼ばれた黒竜。


市場送りになった売れ残り。


その黒竜が。


新人戦を制した。


アレクシスは掲示板を見上げていた。


一着。


レヴナント。


二着。


シルヴァリオン。


着差。


ハナ差。


アレクシス

「負けたか……」


シルヴァリオン

『良い勝負だった』


レヴナント

『ああ』


シルヴァリオン

『次は負けん』


レヴナント

『俺もだ』


アレクシスは恒一へ歩み寄る。


アレクシス

「今回は認めよう」


恒一

「今回は?」


アレクシス

「次は勝つ」


恒一

「望むところだ」


握手。


ライバル誕生の瞬間だった。


その夜。


恒一の神眼が反応する。


【レヴナント】


封印率:94%


恒一

(また下がった……)


レース。


成長。


勝利。


その全てが。


レヴナントの封印を少しずつ解いている。


そんな気がした。


新人戦。


優勝。


だが。


売れ残り黒竜の物語は。


ここから始まるのだった。


― 第三十話 終 ―

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