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第二十九話 黒竜来たる

レースは後半戦へ入っていた。


先頭はシルヴァリオン。


二番手との差は三竜体。


新人戦とは思えない走りだった。


実況

「シルヴァリオン先頭!」


実況

「残り八百メートルを通過!」


実況

「これは独走態勢か!?」


観客席から歓声が上がる。


アレクシスは冷静だった。


アレクシス

「そのまま行け」


シルヴァリオン

『分かっている』


一方。


レヴナントは後方五番手。


恒一

「前が遠いな」


レヴナント

『まだだ』


恒一

「届くか?」


レヴナント

『届かせる』


その瞬間。


レヴナントの脚に魔力が流れた。


ドンッ!


地面を蹴る。


一頭抜く。


さらにもう一頭。


実況

「おっと!?」


実況

「黒竜レヴナントが上がって来た!」


実況

「ここで一気に三番手へ!」


観客席がざわつく。


ガロン

「来たぞ!」


レオン

「まだだ」


残り六百メートル。


最終コーナー。


先頭シルヴァリオン。


二番手。


三番手。


そして外から。


レヴナント。


実況

「レヴナント大外だ!」


実況

「大外から一気に仕掛ける!」


恒一

「レヴ!」


レヴナント

『おおおおお!!』


加速。


加速。


さらに加速。


今までの訓練。


今までの努力。


全部を脚へ込める。


最終コーナーを回る。


残り四百メートル。


実況

「シルヴァリオン先頭!」


実況

「レヴナント二番手!」


実況

「差は四竜体!」


恒一

「遠い!」


レヴナント

『行くぞ!』


残り三百メートル。


差は三竜体。


残り二百メートル。


差は二竜体。


観客席総立ち。


実況

「来た!」


実況

「黒竜来たぁぁぁ!!」


アレクシス

「何だと!?」


シルヴァリオン

『来るか』


レヴナント

『行くぞ!』


残り百メートル。


差は一竜体。


実況

「並ぶ!」


実況

「並ぶぞぉぉぉ!!」


二頭の脚が激しく地面を叩く。


恒一

「レヴ!」


レヴナント

『負けん!!』


ゴール直前。


二頭が完全に並んだ。


実況

「これは分からない!!」


実況

「勝ったのはどっちだぁぁぁ!!」


ゴール。


競走場全体が静まり返る。


写真判定。


勝負は審議へ持ち込まれた。


― 第二十九話 終 ―

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