第二十二話 封印
新人戦まで残り十九日。
流星竜舎。
今日も魔力訓練が続いていた。
レオン
「もう一度」
レヴナント
『分かった』
魔力を脚へ流す。
走る。
加速する。
以前より速い。
確実に成長していた。
恒一
「速くなったな」
レヴナント
『当然だ』
ガロン
「偉そうだな」
レヴナント
『事実だ』
レオン
「口は達者になったな」
レヴナント
『褒めるな』
レオン
「褒めてない」
訓練場に笑いが起きる。
その時だった。
レヴナントが急に立ち止まった。
恒一
「レヴ?」
レヴナント
『……』
レオン
「どうした」
レヴナント
『頭が痛い』
全員の表情が変わる。
次の瞬間。
レヴナントが苦しそうに頭を振った。
レヴナント
『まただ……』
恒一
「記憶か?」
レヴナント
『分からん』
だが。
映像が流れ込んでくる。
巨大な研究施設。
魔法陣。
無数の魔石。
研究員達。
そして。
幼い黒竜。
レヴナント
『俺だ……』
聞こえる。
声が。
研究員
「魔力過剰反応」
研究員
「危険です」
研究員
「制御不能になります」
別の声。
研究員
「封印術式展開」
研究員
「能力封印開始」
研究員
「記憶封印開始」
レヴナント
『やめろ……』
レヴナント
『やめろ!!』
ドンッ!!
地面が揺れた。
恒一
「!?」
レオン
「何だ!?」
レヴナントの身体から青白い魔力が溢れ出す。
その瞬間。
神眼が反応した。
【レヴナント】
封印状態
↓
【封印率97%】
恒一
(見えた……!)
初めて数値が表示された。
封印率。
九十七パーセント。
ほとんど封印されている。
恒一
(だから飛べないのか……?)
レヴナントは苦しそうに呼吸している。
そして。
神眼の表示が変わった。
97%
↓
96%
恒一
(下がった!?)
ほんの一瞬。
だが確かに下がった。
封印が弱くなった。
レオン
「落ち着け!」
レオンが魔力を流す。
レヴナントの暴走が少し収まる。
しばらくして。
静寂が戻った。
レヴナント
『……すまん』
恒一
「謝るな」
レオン
「身体は?」
レヴナント
『問題ない』
ガロン
「本当か?」
レヴナント
『多分』
恒一
「その返事嫌いだ」
レオン
「俺もだ」
少しだけ空気が和らぐ。
だが。
恒一だけは違った。
封印率。
九十七。
いや。
今は九十六。
つまり。
封印は解け始めている。
そして。
その先に何があるのか。
誰も知らない。
レヴナント本人でさえも。
夕暮れ。
レヴナントは静かに空を見上げていた。
その瞳には。
かすかな怒りと。
かすかな悲しみが宿っていた。
新人戦まで残り十九日。
封印された過去は。
少しずつ目を覚まし始めていた。
― 第二十二話 終 ―




