第十八話 封印された記憶
新人戦まで残り二十三日。
魔力訓練は続いていた。
レヴナントの魔力操作は少しずつ上達している。
浮く時間も長くなった。
だが。
まだ飛べない。
レオン
「もう一度だ」
レヴナント
『分かった』
翼へ魔力を流す。
青白い光が身体を巡る。
その瞬間だった。
レヴナント
『っ!?』
突然。
レヴナントが崩れ落ちた。
恒一
「レヴ!」
ガロン
「おい!」
レオン
「魔力暴走か!?」
レヴナントは苦しそうに頭を押さえていた。
そして。
見たことのない声で呟く。
レヴナント
『違う……』
レヴナント
『ここは……』
恒一
「何が見えてる?」
レヴナント
『知らない……』
だが。
次々と映像が流れ込んでくる。
巨大な屋敷。
広大な竜舎。
豪華な装備。
貴族達。
そして。
幼い黒竜。
レヴナント
『俺だ……』
誰かの声が聞こえる。
???
「飛ばない」
???
「失敗だ」
???
「期待外れか」
レヴナントの身体が震える。
さらに別の声。
???
「封印しろ」
???
「力が暴走する前に」
???
「記憶も能力も封じろ」
恒一
「封印……」
神眼が反応する。
【レヴナント】
封印状態
その文字が初めてはっきり見えた。
レヴナント
『俺は……』
レヴナント
『捨てられたのか』
訓練場が静まり返る。
しばらくして。
レヴナントはゆっくり立ち上がった。
恒一
「大丈夫か」
レヴナント
『分からん』
恒一
「何を思い出した?」
レヴナント
『少しだけだ』
レヴナント
『だが』
レヴナント
『俺は最初から市場にいた訳じゃない』
レオンが腕を組む。
レオン
「その話が本当ならおかしい」
恒一
「何がです?」
レオン
「封印なんて高位竜にしか使わん」
ガロン
「つまり?」
レオン
「レヴナントはただの売れ残りじゃない」
夕日に照らされながら。
レヴナントは空を見上げる。
そして自分でも知らない過去を思う。
失敗作。
封印。
そして捨てられた理由。
新人戦まで残り二十三日。
相棒の謎は深まるばかりだった。
― 第十八話 終 ―




