第十一話 天空王杯
観客席は満員だった。
数万人規模。
歓声だけで地面が震える。
恒一
「すげぇ……」
ガロン
「まだ始まってねぇぞ」
レオン
「本番はこれからだ」
出走竜たちがパドックへ現れる。
巨大な体。
美しい鱗。
歴戦の風格。
どの竜もレヴナントより大きかった。
恒一は出走表を見る。
そして神眼が発動する。
【紅蓮竜ガルドレックス】
速度A
持久力B
飛行適性A
【蒼天竜ヴェルシオン】
速度B
持久力A
飛行適性A
次々と能力が見えていく。
レオン
「どうした」
恒一
「いや……」
能力だけなら一番人気が抜けていた。
だが。
恒一はコースを見る。
出走表を見る。
再び出走竜を見る。
そして呟いた。
恒一
「負けるな」
レオン
「は?」
ガロン
「また始まったな」
レオン
「どういう意味だ」
恒一
「前に行きたい竜が多すぎる」
恒一
「ペースが速くなる」
恒一
「最後までもたない」
レオンは眉をひそめる。
ガロンは面白そうに笑う。
ガロン
「で?」
恒一は一頭を指差した。
七番人気。
灰色の竜。
派手さはない。
だが。
神眼には別のものが見えていた。
【持久力A】
【飛行適性B】
【気性A】
恒一
「勝つならあいつだ」
レオン
「正気か?」
恒一
「多分」
レオン
「その返事好きだな」
やがてファンファーレが鳴り響く。
観客が総立ちになる。
出走竜たちがスタート地点へ向かう。
実況の声が競走場全体に響く。
「第八十七回天空王杯!」
「まもなくスタートです!」
恒一は身を乗り出した。
レオンは腕を組む。
ガロンはニヤニヤしている。
そして。
ゲートが開いた。
轟音と歓声が爆発する。
天空王杯。
開幕。
― 第十一話 終 ―




