表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
106/113

第百六話 教えてルミナス先生

その日の夜、訓練が終わって魔道飛行船に戻った恒一は甲板でルミナスに頭を下げて懇願していた。


恒一

「ルミナス先生。早急に魔力膜を教えてください」


ミリア

「先生になってる」


エリシア

「昨日あれだけ酷い目に遭ったものね」


ゼノス

「はっはっはっ!! 顔面が風圧で引き千切れそうになってたからな!」


恒一

「笑い事じゃねぇんだよ! あの状態で飛び続けたら本当に首から上だけ持ってかれるぞ!」


レヴ

『大袈裟だ』


恒一

「原因のお前が言うな!」


ルミナスは小さく笑った後、真面目な表情になった。


ルミナス

『ですが、やる気になったのは良い事ですわ。魔力膜は飛行竜騎手にとって必須技術ですもの』


恒一

「やっぱり全員使ってるのか?」


フェルド

『当然だ』


グランヴァルド

『使えなければ高速飛行など出来ん』


エリシア

「むしろ使えないまま飛んでた恒一達がおかしいのよ」


ミリア

「よく今まで無事だったわね」


レヴ

『無事だ』


恒一

「俺は無事じゃなかったんだよ」


周囲に笑いが広がる。


ルミナスは翼を広げながら説明を始めた。


ルミナス

『魔力膜とは簡単に言えば、自分の周囲へ魔力の薄い膜を張る技術ですわ』


恒一

「風除けみたいなものか?」


ルミナス

『間違ってはいませんが少し違いますわね』


恒一

「どう違うんだ?」


ルミナス

『風圧を防ぐだけではありません。高速飛行中の衝撃を逃がし、温度変化から身を守り、外部からの魔力干渉も軽減します』


ゼノス

「要するに飛行竜騎手の命綱だな!」


恒一

「それ先に教えるやつだろ!」


ゼノス

「はっはっはっ!!」


ルミナス

『まずは魔力膜を作ってみてください』


恒一

「説明終わったばかりなんだが?」


ルミナス

『百聞は一見に如かずですわ』


恒一

「嫌な予感しかしねぇ……」


恒一は目を閉じて魔力を感じる。


集める。


包む。


そんなイメージを作る。


数秒後。


ポン。


小さな音がした。


ミリア

「……何今の」


エリシア

「弾けた?」


ゼノス

「弾けたな」


恒一

「まだ何もしてねぇぞ!?」


ルミナス

『綺麗に霧散しましたわね。魔力を集める前に拡散しております』


恒一

「失敗なのは分かるんだよ!というか今の本当に何が悪かったんだ!?」


レヴ

『才能が無いな』


恒一

「……お前もやれ」


レヴ

『……』


レヴも目を閉じる。


魔力が集まる。


だが次の瞬間。


ドゴォッ!!


レヴの魔力が爆発した。


ゼノス

「うおっ!?」


ミリア

「きゃっ!?」


エリシア

「ちょっと!?」


ルミナス

『何をやっておりますの!?』


レヴ

『失敗した』


恒一

「お前の失敗、規模がおかしいんだよ!」


グランヴァルド

『なるほど』


フェルド

『理解した』


ミリア

「何を?」


フェルド

『この二人に魔力操作を教えるのは大変そうだ』


グランヴァルド

『非常に大変そうだ』


ルミナスは深くため息を吐いた。


ルミナス

『コウイチは魔力が散り過ぎていますわね』


恒一

「はい…」


ルミナス

『レヴナントは逆ですわ』


レヴ

『何がだ?』


ルミナス

『力任せ過ぎます』


レヴ

『そうか』


ルミナス

『そうですわ』


エリシア

「つまり?」


ルミナス

『コウイチは繊細さが足りず、レヴナントは加減を知りません』


ミリア

「最悪の組み合わせじゃない」


ゼノス

「はっはっはっ!!」


恒一

「笑うな!」


だがルミナスは微笑んだ。


ルミナス

『逆に言えば、伸び代しかありませんわ』


恒一

「その言葉、今は信じる事にする」


レヴ

『覚える』


恒一

「珍しくやる気だな」


レヴ

『次も空気の層を蹴るからな。あれは速い』


恒一

「目的が俺のためじゃねぇじゃねぇか!」


レヴ

『速さは正義だ』


恒一

「……」


レヴ

『どうした?』


恒一

「いや、全然反省して無いなお前」


レヴ

『反省はしていない』


恒一

「少しはしろよ!」


レヴ

『だがコウイチが飛ばされるのは効率が悪い』


恒一

「効率の問題なんだ……」


再び笑い声が響く。


だがその日、恒一とレヴは知らなかった。


魔力膜の訓練が空を見る訓練よりも遥かに難しい事を――。


――第百六話 終――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ