エピソード5 転生の要因
そこからのことは、正直あまり覚えていない。なにかぶつかったものを押しのけ、多分情けなく叫び声を上げながら、僕は転げるように妖魔から逃げようとした。
でも、何かに足が絡まって転んでしまい、まずいと思いながら振り向いた。そして僕が見たのは、骸骨野郎の武器が僕の背中を突き刺す所だった…
そして、僕は意識を失い、気が付くとこの草原にいたということになる。
だんだんと、頭も記憶もはっきりしてきた。そして、僕はあるアイテムのことを思い出した。
「そうか、これは本物だったんだな」
そう言って、僕は胸元からおどろおどろしい模様が入った丸いアイテムを取り出した。真ん中には黄色の透明な石が嵌っているが、その石は割れてしまっている。
このアイテムは、「転生の魔石」と呼ばれている、退魔士の名家に伝わるアイテムだ。これを持っていると、殺されたときに1度だけ転生することができると伝えられていた。僕は、眉唾物だとは思ったが、念のため、今回の戦いのためにこのアイテムを所有する家から借り受けてきていた。
その家の当主は、当家秘蔵の物だとかいって出すのを渋っていた。だけど、当代最強の僕に万が一のことはあってはならない。だから、上層部に圧力をかけて、強引に借り出してきた。
その万が一のための備えが、今回は有効に働いた訳だ。僕は心からほっとした気持ちで「やれやれ」とつぶやいた。まだ不明なことも多いが…
「とりあえず、やつらは僕を仕留め損ねた訳だ」
そう、最も厄介な存在、すなわち、この最強の退魔士トゥサ・E・ゴルジを。あの骸骨野郎には「焦りが伝わってくる」とか言われたけど、僕を取り逃がしたことで、今はやつらが焦っているんだろう。そう思うと、少し頬が緩むのを感じた。




