エピソード3 封印
いつもの感じなら、敵が何体いようとそいつらは大きく弾き飛ばされる。だけど、この時は妖魔たちが多少後ずさっただけだった。それだけじゃなく、何かいつもの感じと違う。「ん?」と僕は思わず言っていた。
何が違うんだ?と考えた瞬間に、体から何かが抜ける感覚が来た。なんだこれ? こんなの知らないぞ? そう思った時に後ろから叫び声が聞こえた。
「先生、なんかヤバい! 自分一人で突っ込むな!」
声の主は僕の部下で教え子でもあるイズマ。大丈夫だよ。いつも通り、どんなピンチでも僕が何とかしてあげるから。そう思いながら、もう一度退魔術を使った。
「退魔術“正雀”」
だけど、やっぱりいつもと感覚が違う。それに、今度は退魔術が全く発動していない気がした。妖魔たちも、微動だにせず変な笑い声を出しながら僕を見ている。
その時、僕はあることに気付き、体中から冷や汗が噴き出してきた。魔力の流れがまったく見えなかったのだ。気付くと、僕は強すぎる力を封じるために普段から目のあたりに付けている覆いを取っていた。そして妖魔どもを凝視する。だが、それでも魔力の流れが見えない。
僕の退魔術は大きく分けて2つの系統に分かれている。1つは、「正雀」などの魔力を放出する術。そしてもう1つが、魔力の流れを詳細に見ることのできる「光顕眼」だ。僕は、この2つの能力によって最強の退魔士として数多の敵を倒してきたのだ。
だが、今は「光顕眼」は働いていない。そして、おそらく「正雀」も発動しなかった。
つまり、僕の力は何らかの理由で封じられている? そんな恐ろしい考えが頭をよぎった時に、妖魔たちの後ろの方から声が聞こえてきた。




