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エピソード2 戦いの記憶

 「それにしても、まさか力が封印されてしまうとはなあ」


 僕はそうつぶやきながら、なんとなく背中を触った。背中には、特に異常は無かった。傷も無さそうだし、特に痛みもない。僕はそのことに安心したような、不思議なような気持ちを覚えた。なにしろ、僕の背中は妖魔によって貫かれたはずなのだ。


 僕はもう一度だけ辺りを伺った。確かに妖魔の気配はない。戦闘が行われている雰囲気もない。ここは安全だ。そのことを確認し、僕は頭を整理するために何があったかもう一度思い出そうとした。


 僕たちのチームは、妖魔の王と呼ばれる強大な敵を打ち破るために、そいつの拠点に乗り込んだ。「僕たちのチーム」というのは、リーダーの僕と3人の若い退魔士からなる4人組のチームだ。もちろん、現代最高の退魔士である僕が中心戦力で、他の3人が僕をサポートする構成だ。


 僕の計算では、“妖魔の王”とやらがどれだけ強大であったとしても、僕の退魔術をもってすれば、容易に対処できるはずだった。だけど、一瞬の隙を突かれ、気が付くとよく分からない巨大な目玉の妖魔たちに取り囲まれていた。


 もちろん、僕は百戦錬磨の退魔士だから、妖魔たちに取り囲まれるぐらいでは動揺しない。いつも通りに退魔術を使って逆に攻撃を加えてやろうとした。


 僕は、「その程度で僕を倒せると思ったのかい」と言いながら両手を前方に突き出して手のひらを敵の方に向け、自信満々で退魔術を使った。


 「退魔術“正雀(せいじゃく)”」


 僕の「正雀」は、体の前方に強力な魔力を放出し敵を弾き飛ばす。雑魚ならこの術のみで倒すことができるし、強い妖魔であったとしても相手との距離を取り相手の攻撃を弾き飛ばすことが出来る。攻防一体の便利技だ。


 これまで僕の「正雀」が効かなかい敵などいなかった。だから、僕は術が成功することを疑わなかった。だけど、この時は様子が違った。

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