エピソード19 襲撃
ふう。まったくセイマも、あんなに怖そうにすることは無いのにな。弱い犬ほどよく吠えるというが、人を睨んだりするのは、僕ぐらいの修羅場をくぐった人間からするとかえって弱そうに見えてしまう。後で注意しておいてやろう。
まあでも、セイマが無事でよかった。僕が去った後の戦場を良く切り抜けたもんだ。後で、何が起こったかを聞いてみようかな。そんなことを考えながら地下室へ続く扉を何の気なしに眺めていた時、突然後頭部に激しい衝撃が走った。
なんだと思う間もなく、今度はロープのようなものに首を絞められ、引きずり倒された。そして、背後の森から野太い不快な声が聞こえた。
「やれやれ、驚かせよって。まさかゴルジの奴が生きていたのかと思ったが、ただの偽物じゃったか」
声の主は、身長の低い小汚い妖魔だった。木の化け物なんだろう、全身が木の皮のようなもので覆われていて、その胴体をさらに粗末な布が覆っている。そして、その布から切り株みたいな頭が乗っており、切り傷みたいな口をもごもごさせてしゃべっていた。
その横には、二足歩行の猪のような妖魔もいて、こちらを馬鹿にしたように眺めていた。そいつは、ニヤリとして言った。
「だから言ったじゃねえか。ゴルジは死んだんだよ。それにこいつからは力を感じねえ。ただの雑魚だぜ」
「まあ用心するに越したことはあるまい。さて、こいつはどうするかな」




