第二十四話 「はじめての遺跡探索」
僅かに流れ落ちる岩清水を分け合いながら、漸く身支度を整えた俺達は、俺が提供した投げナイフ三本と、作業用ハンマー(母が俺を殴ったあれである)を寄る辺に、人工の通路が広がる奥の方へと進んでいった。
あれから、一日が経ちました。
その間、何があったかといえば、実は何も無かったのである。と、いうのも、一本道の螺旋階段が、奥の方にあり、それを延々と下り続けていただけだから。幸い、途中にいくつかの踊り場があった為、休憩などはそこですればよかったから、疲労に関してはそれほど辛い物にはならなかったし、携帯食もアイテムボックスの中にまだ数日分は残ってる。水も入口で補給できたのが幸いした。問題は、どこまで下りればいいのかという心理的不安だけである。
「う~ん、目が回るのにゃ!」
そういう問題もあった。下を見ても、未だ底の気配は依然なく、物を落としても地面に落ちる音はしない。
「なあ、今なら引き返せば何とかなるんじゃないのか?」
「仮に引き返して、あそこを登れるの? 登れたとしても、ゴブリンの巣よ! あんな怖い思い沢山だわ!」
「確かに、現状引き返してもバラ色の未来は待ち受けてないだろうな。俺はこのまま進んだ方がいいと思う。ヌコとケンジはどうだ?」
「上る方がきっときついにゃ! うちは、さっさと突破してお宝を手に入れたいのにゃ!」
「いや、お宝はどうだろう? だが、このまま進んでみたいと思う。何故? とは確信的に言えないけど、これだけの施設だ。必ずなにかあると思う」
これだけ進んで、実は水源調整池でしたなんてオチじゃない事を祈るばかりだ。
「それにしても、暑くないか? 大分入口辺りと比べると暑いような気がするんだがね」
「地下に潜る程地熱というのが発生して暑くなるものなのさ。確か、何百mで1~2度違った筈だけど」
「それじゃ、そのうち暑くなりすぎて大変なんじゃないの?」
「いざとなったら、ブリザードで冷やしてくれればいいさ。でも、そこまで暑くはならないと思うけどね」
そう、言っていた傍から段々気温が冷えてきた。この冷え方には、俺は覚えがあるぞ。冷房の風だ。
「底が近い証拠だと思う。試しに何か落としてみてくれないか?」
ヌコが石を拾っておとしてくれた。
ヒュー ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――カン!
「大体あと一キロ位かな? みんな、もう少しだぞ!」
その事実にテンションが上がった俺達は、十二宮を駆け抜ける聖闘士のように、ただひたすらと階段を下り続けて幾星霜、ついに、最終回まで突破したのであった。
俺たちの戦いは、ここからだ!
長い間応援ありがとうございました。
先生の次回作にご期待ください。
などということは、勿論なく無事に最深部に着いたのは、それから一時間程後であろうか?
「「「「「つ、着いた~」」」」」
へろへろ。
階段の終着点には、巨大な扉が一つあるだけだった。
「それにしても、大きな扉だねぇ。これ、人の力であけられるのかな?」
「まるで、〝試しの門〟だな」
「〝試しの門〟って?」
「俺の元の世界にあった本に出てくる殺し屋一家の家の門だよ。その大きな門を自力で開けて入らないと門番の化け物に食い殺されるという」
「ちょ、ちょっと怖くなるからやめてぇーっ!」
「なにをアホな話してるんだ? 開くかどうか調べてみるから静かにしててくれ」
静かに待っていることにしたものの、直ぐに戻ってきて
「開いてる。ただ扉が重くて動かない。みんな、手を貸してくれ!」
と、言われたので、全員でなにしろ押してみることにした。
「「「「「せーのっ、ふんっ!」」」」」
ぎ、ぎぎ、ぎぎぎぎぎぎぃ~
何とか人一人が入れる位のすきまが出来たので、楔を打ち込んで閉まらない様にしてから、全員で侵入する。ちなみに、良くあるお約束的に、引き戸であるとか、そういう事はなかった。
中に入ると冷気がより強くなった。まるで冷蔵庫かサーバールームかといった感じだが、廊下を歩いていると、両側に広がる白い壁と冷気が、どこかの研究所かなんかのようだ。まあ、どうやら調整池という線はなさそうなので、一安心である。あ、正面に扉がある。
「ジェイド、頼む」
「応、任せろ」
ジェイドが扉を調べ始めると、罠を発見したようで、床に道具を広げ始めた。
「ちょっと、厄介な罠が仕掛けられてる。多分、毒ガスと牢獄の罠がセットになっているから、みんなは一度離れていてくれないか? それと、ケンジ、なんか梯子とかもってないか?」
リクエストに応え2mほどの梯子を出すと、壁に立て掛けて
「これで、失敗しても罠が発動しきる事は出来ない筈だ。毒がどのレベルかは分からないから、出来れば外で待っててほしい」
そう言われ、〝試しの門〟の外まで避難する。
かなり時間が経って、手持無沙汰な俺たちが、食事を終えた頃、ガコン! と音がした。
慌てて中を見てみると
「ちょっと失敗した。壁が閉じかけたが、梯子のおかげで閉じずに済んだ。毒ガスの方は無事に終わったから、もうこっちに来ていいぞーっ!」
呼ばれて漸く全員で集合した。
「じゃあ、開けるぞ!」
ジェイドから扉を託されたアルバが、扉を開いていくとヒヤリとした空気が足元から広がっていく。
「うおっ! 何だ、これは?」
そこにあったものは、巨大なタワーのような物体であった。鈍色のそれは、部屋の天井をぶち抜き三階分程度の高さがあるだろうか? 俺には、なんとなく分かる。これ、SF映画なんかで見るようなコンピューターのサーバーシステムそのものじゃないのか? なんか、人間を支配する系の悪役コンピューター。そんな禍々しさをこの目の前にあるモニュメントから感じてしまう。
『ようこそ、愚かな人間共よ! 我が名は次元を超えた神なる存在、〝Roberto〟我が依代の元へと辿り着いた蛮勇をここに称えよう』
やたらと仰々しい物言いをするコンピューターだな。
『ここまで辿り着いたお前たちには、我の力の一端を授けよう。我が力を手に入れ、このぬるま湯に浸かった現世を戦乱に導くがいい。? って、あ、あ、ああああっ! そこにいるちっこい男は、アニチのいい人じゃないですかぁぁぁっ? どうしてこんな処にきちゃってるんですかぁぁぁぁっ!』
な、なんだぁっ? 俺の知り合い?
ん? なんか、微妙な雰囲気が後ろから、男達は、尻を抑えて後ろにと逃げて行ってしまってるし、女衆は目をキラキラさせて前のめりにこっちを見ている。今の一瞬の間に何があったというのだろうか?
「ね♡ ね♡ その、アニチのいい人って、どういう意味?」
「もう、やおい穴に受け入れちゃったのにゃ♡ ぜひぜひその辺の初体験に関してご教授いただきたいのにゃ♡」
「「頼む! ほらないでぇ~!」」
「どうしてこうなった!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「えーと、つまり、あんたは、神様の知り合いで本当の神様の一柱であると」
『へいっ、そうでゲス。兄さんと入れ違いでアニチを訪ねていったところ、兄さんのお話を聞きやして、まあ、あっしときたら、いつもアニチからは、ボケ、カス、ラッパ、空気、なんぞと言いたい放題言われっぱなしで、悲しい程に一人芝居なんでゲスよ』
三下口調のコンピューターって。さっきの威厳はどこへ行った?
『それで、兄さんはどうしてこんな所にいらしたので?』
「それなんだけど、実はかくかくしかじか……」
『なんと! そんな不埒な生き物が居やがるのですか? よーがす! ぜひとも、あっしのコレクションから何でも好きなもの持ってってそのゴブとかいう奴ら打ち滅ぼしてやってつかーさい!』
「「「「「コレクション?」」」」」
ゴゴゴゴゴと、コンピューターの後ろの壁が開いていくと、そこには
「「「「すっごい! お宝の山だ!」」」」
感嘆というよりは絶句、という感じでみんな唖然としている。一日前にはもう命を諦めなきゃって境遇だったのが、ここに来てお宝にありつくとか、どんだけ上がり下がりの激しい人生なんだろうか?
「いやー、まさかケンジが神様のお知り合いだったとは、ほんと、ケンジさまさまだなぁ!」
「まったくだ! 普通のルーキーとは違うとは思っていたが、こんな経緯を持っていたとは、ほんとに神の使徒だったんだなぁ」
「と、いうか、おかげでまさか私たちまで神様にお目通りできるなんて、望外の幸せだわ!」
「すごいニャ! 本当に神様の使いだったにゃんて! やっぱり婿に来てほしいのにゃ!」
「ちょ、ちょっと待った! 俺はただ、元の世界で殺されてそこでちょっと話しただけだって。普通の人間だよ。神様とか、信じてないし」
『ご謙遜。アニチから祝福を受けながら、その大半の力を未だ使い切らずに残しているなんて、聖人並のモラルですよ。そんな方が普通の人間な訳ないでしょう?』
そうなんだろうか?
「「「「神様から祝福を受けたぁ!?」」」」
「いや、サイコロ一回振っただけだし、結構なじられたりしたけど、そこまでかわいがられた覚えないぞ」
『まあ、落ち着いて、せっかくだから、みんなに祝福、は授けられないけれど他の世界から転移してきた武器、防具、その他のアイテムをたんまり持って行ってもらうから、これだけでもこの世界ではチートってもんだろうから、いっそ、みんなで世界でも征服しちゃいなよYOU!』
「させるかぁぁぁぁっ! 頼むから焚き付けるなよ。ここにいるみんな、罰金や税金の滞納分を何とかしたいってだけの庶民なんだぞ! そんな小市民にレコンギスタさせようってのか?」
『OK、分かったから、コードむやみにいじらないで! おなしゃっす!』
いずれにしても、何かしらくれるそうなので、宝物庫へみんなで入ってみる。
一体何をもらえるのだろうか?
この作品は、内容に危険な要素が多数含まれます。
精神的疾患をお持ちの方、心身喪失状態の方、心の弱い方、特に、いじめの経験をお持ちの方にはおすすめいたしません。
この作品は、皆様の愛情と狂気の提供で、活動のエネルギーとさせて頂いております。
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