第二十三話 「はじめてのしけいしっこう」
こうして、敗退した俺達は、降参して捕虜となった。
その結果、王の御前に引き立てられ、A級戦犯として裁かれる立場へとなってしまった。
こ、これがゴブリンキング!?
目測で身長3m、体重は、300kg以上あるのではないだろうか?
遠目に見ていた時と違い、その巨体が発する圧力は、実際に相対してみないと実感が湧かないが、野生動物というよりも、剣呑な武道家のようなオーラを纏っていた。まあ、しゃべれるという時点で人間寄りになるのだろうが、小鬼というより、完全にオーガか、オークに近い感じがする。そして、その近くに侍っているゴブリンが、また一回り以上大きいのだ。
「ぐわっはっはっは! どうだ! 我が愛しのハーレム要員達は美しいだろう! これぞ、我が人生の集大成也!」
どうやらメスのようだ。確かに、原色ぎらぎらでけばけばしい。まるで大阪のおばちゃんである。それが、数十匹集まってけらけら笑っている。ぶちムカつく。
「さあて、それでは只今より、公開処刑を行う。先ずは、貴様らの心を折って殺す。野郎共! 前へ」
呼ばれて前に出てきたオスのゴブリンが多数。百匹以上のオス、それぞれがいきなり、腰みのをはずし、いちもつをいきなり晒してきた。
「「いっ、いっやぁぁぁぁぁぁっ! 犯さないでぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」」
女の子は、もう大パニックだ。この絵面では、完全に〝くっ殺さんへの道〟にしか見えないもんな。
「な~にを言っちょるか? 我等ゴブリンが人間を犯すなど、変態か?」
むしろ、ゴブリンキングに変態扱いされる始末。うっわぁ! 確かに心を折られるな。
「それでは、処刑開始!!」
ゴブリンキングの合図で、いちもつをひり出した一般ゴブは、だんだんと、俺達の方へ近づいてくる。
「うわーん! おかあさーん!」
「もう、だめにゃ! こんなことなら、ゆうべ無理矢理でも、賢治ので卒業しとくんにゃった!」
どさくさに紛れてなんて暴露してくれてんだ! 他の男衆の俺に向けた視線がいた~い!
そうこうするうちに、ゴブどもが俺達の目の前に、まさか、無理矢理咥えさせるつもりか?
そう、思う程近くまで来たとき、いきなり、
じょ―――――――――――――――っ!
じょ―――――――――――――――っ!
じょ―――――――――――――――っ!
じょ―――――――――――――――っ!
じょ―――――――――――――――っ!
おしっこぶっかけてきやがった。
「「「「「うげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」」」」」
なんちゅうことをしてくれてんじゃ! しかも、ゴブども、次々に交代でぶっかけてくるもんだから、目も開けられない。しかも、くっせぇ~。
「うわ゛~ん! びどいよ~!」
「くっせぇぇぇぇっごぼっ!」
「に゛ゃー!」
「くっ、殺せっ!おぇっげぼっ」
アルバ、お前がくっ殺さんしても萌えん!
こういう時は、もう、何もせず、口で息をしながら嵐が止むのを待つしかない。屈辱とか、悲しいとか、考えたら負けだ。只、無心になれ。そう、俺はT0T0。
じょ――――――――――――――――――――――――――――――――っ
ふるふる、ちん。
どうやら終わったようだ。女衆は、かなり暴れていたから、完全にグロッキーである。
アルバとジェイドは、飲んでしまったのか、途中でゲロってしまったらしく、こちらもほぼ昇天中。
体力残してるのは、どうやら俺だけだ。
「ふふん。なかなか良い武器を持っているじゃないか。これは朕が使ってやるとして、ん? 何だ? このガラクタは?」
折り畳みのパイプ椅子は、どうやら用途が判らないようだ。
「まあいい、宝物庫に仕舞っておけ! こやつらは、ごみ捨て場から落としてやれば、生きて帰ってこれんだろう。おい! さっさと捨ててこい!」
「「「「「「「「「「「イーっ!」」」」」」」」」」
……どっかの戦闘員か? こうして、どうやら俺達は殺害されることなく、廃棄されることになったらしい。二匹一組で俺達を運び出し、どっかの穴ぼこから突き落すようだ。
「ゴブゴブ、ゴゴブ」「ゴブゴぶ」「ゴブ―」
「ゴブゴブ、さあて、お前たちも一巻の終わりだ! ここから落として出て来たものは、未だかつて一人もおらん。精々、あと何秒かの命を惜しむのだなぁ! それでは、愚かな人間共よ。おさらばでございますぅっ、ぎゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
ゲラゲラと笑うゴブたちに見送られ先ず、俺が一番最初に落とされる。
ぽーん
狭い穴の中を落下する。ほぼ、直角かと思いきや、やや、傾斜しているため、壁に背中がぶつかる。と、いっても、スピードを減速できる程では無い。何かとっかかりがあれば、ん? あった! 横穴が開いている。壁を蹴って横穴の方へジャンプ! 届くか? 届いた!
辛うじて手が引っかかる場所があったので、何とか着地できたな。何とか横穴に這いあがると、向う側にも、同じ位の横穴がある。横穴の直径は二m程度か。上は、結構高い。十秒程落ちていただろうか? 壁との摩擦もあるから重力加速度程までは落ちてないだろうけど、
「いやぁーっ! いやぁーっ!」
上からミミの悲鳴が聞こえてくる。必死で落とされない様に頑張ってるらしい。何とかして助けなきゃ。
アイテムボックスを開き、何か無いか? と、あ、あった。安全ネット。浜松アリーナでセッティングしてあった奴だ。
うまい具合にひっかけ易い突起した岩が、こちらにも、向うにもある。岩に、しっかりとネットを結んで固定する。よし、こちら側はOKだ。俺は、ネットの端っこを持って、向う側の横穴にジャンプする。
約四メートル先の向こう岸に助走をつけてジャンプし、こちらの岩に括り付ける。あとは、四隅の端を一個持って展開面積を広げてやる。これで、ほぼ落下地点をカバーできそうだ。俺が落ちなければ。
「キャ―――――――――――――っ!」とすん!
落下してきたミミをネットで受け止める。ぐっ! 何とか受け止められた。呆然としているミミを手招きして、こっち側に上がってきてもらう。どうやら、助かった安堵で顔がぐしゃぐしゃだ。
「うにゃ~! にゃんぱらりん!」
次に落ちてきたヌコは、どうやら見えていたのか、ネットの上に綺麗に着地した。流石ヌコ!
「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
落下中ずっと叫びながらだったジェイドは、それでも、スカウトらしく、直ぐに助かったことを把握すると、さっさとネットから反対の横穴に移って、装備の点検をしだした。騒いでた割にたくましい。
そして、無言のまま落ちてきたアルバは、黄金色の吐瀉物をまき散らしながら落下してきた。
どすん! 完全に失神しているのか、天から光を纏い落ちてきたアルバの姿は、正に正ヒロイン!?
ってか、ヒロイン枠狙ってんのか? いや、無理か。よく見るとばばっちぃ。ゴブのおしっこと吐瀉物で汚れた自慢のフルプレートが、何よりも痛々しい。
俺とヌコでアルバを引っ張り上げて、アルバの回復を待つ。その間にジェイドもこちら側に跳んできた。
「助かった。礼を言う」
「落とされた順番がよかった。みんな助かってよかったよ」
「うわーん! 怖かったよ~」
「本気で犯されるかと思ったにゃ!」
「うーん、げぼっ! はっ! ご、ここは、ヘブン!?」
アルバも気がついたようだ。
「それにしても、ここは? どうやら人の造った人工物のようだが……」
腰に着けていたランタンを用意しながら、ジェイドが問う。確かに、横穴から直ぐ奥に入ると、床面がまっ平になっている。
「もしかして、ぐすっ、未発見の遺跡?」
まだ、ぐずりながらも、ミミが興味を持ったようである。
「なんでもいいけどくっさいにゃ!」
「どうやら、岩壁のすきまから清水が湧きでてる。ここで、身支度だけでもしてから動こう」
俺が、そう提案すると、流石にみんな助かった、と思ったのか、へなへなと崩れてしまった。
それにしても、恐ろしい奴らだった。まさか、あんな攻撃を喰らうとは、
「正に、死刑しっこ!」
みんなからぼこられたのは、言うまでも無い。
この作品は、内容に危険な要素が多数含まれます。
精神的疾患をお持ちの方、心身喪失状態の方、心の弱い方、特に、いじめの経験をお持ちの方にはおすすめいたしません。
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