↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
散歩道 俳句を詠んでみました。  作者: あっちゅ寝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/31

熊も転がる歴史路をゆく 〜越後から佐野の郷へ〜

新潟から栃木県佐野市へと続く道のり。それは私にとって、ある大切な縁によって結ばれた、今や幾度となく行き来する特別な旅路です。

かつてこの道は、越後の龍・上杉謙信公が天下を睨み、関東出兵のために軍を進めた険しき歴史街道であります。

文明が進んだ現代において、私は車を駆り、かつて武士(もののふ)たちが草鞋を減らし、命懸けで越えたであろう峠道をたどる。窓の外を流れるのは、小熊が転がり、鹿が姿を現し、猿が出迎えるような、今なお深い自然が息づく山河の姿。

時空を超えて謙信公の足跡を踏みしめながら、道中で出会った一瞬の感動を、拙いながらも五・七・五の言葉に託してみました。これは、私自身の五感で紡いだ、現代の「越後・佐野街道紀行」の記録です。


熊も転がる歴史路をゆく 〜越後から佐野の郷へ〜


新潟の住処を発ち、私はかつて上杉謙信公が関東出兵のために何度も駆け抜けたという歴史の道筋へと車を走らせる。かつて乱世の武士たちが草鞋を減らした険しい山道は、いまや私にとって、特別な縁で結ばれた佐野へと続く大切な旅路(ルート)となっている。

国境に近づくにつれ、山々は一気に色を深めていく。

もみじ濃く 鹿が見送る 三国ごえ

赤や黄色に燃え立つような紅葉のトンネルを抜けるとき、ふと山肌に目をやると、一頭の鹿がじっとこちらを見つめていた。まるで、時空を超えて旅する者を静かに見送ってくれているかのように。

山を越え、群馬側へと下るとそこは温泉の湯けむりが立ち上る地。謙信公が関東進軍の際、庚申の年、申の月、申の日に吉兆たる「猿の夢」を見て命名したと伝わる名湯である。


湯の町や 上杉縁の 猿の里


猿ヶ京の湯に浸かり、かつてこの地で天下を夢見た武将の息吹に思いを馳せる。しかし、ここからの道中も決して平坦ではない。


峠越え 熊も転がる 曲がり道


急カーブが連続する九十九折りの旧道では、本当に小熊が転がり出てきてもおかしくないほどの深い自然と険しさが今なお残っている。歴史の重みを五感で受け止めながらハンドルを握り、ようやく視界が開けたとき、目の前には上州の象徴が姿を現した。


空紅く ぽつりとえくぼ 赤城山


夕暮れ時、西の空が真っ赤な茜色に染まる。そのグラデーションを背負って佇む赤城山の山頂付近には、まるで微笑んでいるかのような「えくぼ」の窪みがぽつりと浮かび上がっていた。旅の緊張が、その優しい山の表情によってふっと解けていく。

そして旅は、群馬から栃木、私の目的地である佐野の郷へと至る。


青竹や お汁も甘露 佐野の郷


たどり着いた安堵感の中で、伝統の青竹打ちで打たれた透き通るラーメンをすする。名水が育んだ五臓六腑に染み渡る極上のスープは、まさに「甘露」そのもの。長い道のりを越えてきた身体に、これ以上の贅沢はない。

小熊が転がり、鹿があらわれ、猿が出迎える、時をかける歴史街道。謙信公の足跡を踏みしめながらゆくこの旅路は、私にとって、五・七・五の情景とともに刻まれる一生の宝物である。

ご一読いただきありがとうございました。日々の歩みのなかで紡いだ言葉たちが、どなたかの心に届き、小さな道標となれば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。