【第2話】:越後の嶺、厳かなる自然のうねり
前書き
足元の命を見つめていた視線は、川の流れに沿って、やがて越後の壮大な原風景へと広がっていきます。
本文
散歩道を歩み進め、いつしか見慣れた信濃川の河川敷へと辿り着く。ここからは、私の大好きな越後の山々が一望できる。
足元の小さな命たちに癒やされていた視線は、自然と、この郷土が誇る荘厳な大自然のうねりへと引き上げられていく。
水が運命を分かつ場所。そこには、目を剥くような自然のドラマが潜んでいる。
分水嶺 波押し寄せて みだれ打ち
字余り。
太平洋と日本海、あるいは異なる水系へと流れる水を隔てる分水嶺。そこで押し寄せる激しい波が、まるで太鼓をみだれ打ちにするかのように激突し合う。人工の堰や自然の境界線で白波を立てて抵抗するそのエネルギーは、どこか人生の岐路に立つ人間の激しい葛藤をも想起させ、その圧倒的な迫力に言葉を失う。
しかし、激しさの先には、常に変わらない郷土の豊かな美しさがどっしりと控えている。
黄金の穂 白鳥集う 弥彦山
視線を移せば、一面に広がる黄金色の稲穂の海。そこに舞い降りる真っ白な白鳥たちの姿。そして背景には、静かに全てを見守るように弥彦山がそびえ立っている。この光と色彩のコントラストこそ、私たちが守るべき、何物にも代えがたい「生きるための礎」そのものである。
夕暮れ時、歩みを止めれば、風が優しく頬を撫でていく。
風そよぎ 川端ゆけば 菊ゆかし 宝の如し 秋の夕暮れ
ひっそりと川端に咲く野菊の、奥ゆかしくも気品ある佇まい。その一瞬の出会いが、まるでかけがえのない宝物のように胸に染み渡る。
やがて、太陽は山の端へと沈みゆく。
黄金の陽 弥彦にひらり 鷺一羽 何処に参る 川渡る風
黄金色の夕日に染まる弥彦山を背に、一羽の鳥がひらりと風に乗って飛び去っていく。「何処に参る」――その行く先に思いを馳せるとき、自然への深い畏敬と、心地よい静寂が私を包み込む。
にゃんこやワンコが行き交う身近な散歩道は、そのまま、この荘厳なる越後の大自然へと地続きでつながっている。この唯一無二の survival experience(人生という旅路)を、私はこれからも一歩一歩、確かな足取りで歩んでいきたい。
後書き
ご一読いただきありがとうございました。日々の歩みのなかで紡いだ言葉たちが、どなたかの心に届き、小さな道標となれば幸いです。




