散歩道の命の紋(もん)第二章:秋晴れの散歩道
日常のふとした歩みのなかで、景色がふわりと色づく瞬間があります。今回は、私が散歩道で出会った秋の気配と、胸の奥にある故郷の情景を、いくつかの俳句とともに二つの物語に仕立てました。パレットから取り出したような青空から、足元の小さな虫たちの知恵まで。深まりゆく秋の空気感を、どうぞご一緒に歩くようにお楽しみください。
第二章:秋晴れの散歩道
嵐が去り、すっかり高くなった青空を見上げて、お気に入りの公園へと足を延ばす。ここは小川が流れ、豊かな林が広がる、私にとっての癒しの散歩道だ。先日の大雨の傷跡を包み込むように、小川はいつもの穏やかなせせらぎを取り戻していた。
散歩道 秋の小川に 亀歩む
水底をゆったりと進む亀の姿に、焦る必要はないのだと教えられる。
この公園の林には、山の土が運び込まれているという。そのせいだろうか、ふと足元に目をやると、木漏れ日の下に嬉しい秋の便りを見つけた。
秋晴や 垣根の陰に ぬめり茸
見上げる青空の乾いた心地よさと、地面の陰でしっとりと艶を放つきのこの質感。光と影、乾と湿。自然の対比の豊かさに、歩く足取りも自然と軽くなる。
たくさん歩いて、少し火照った額の汗を拭う。たどり着いた広大な芝生広場では、心地よい風とともに、先客たちが賑やかに迎えてくれた。
汗拭い 芝生広場で 鴨が呼ぶ
「こっちにおいでよ」と誘うような鴨たちの声に包まれながら、私は深く息を吸い込む。排水溝の小さな命の闘いも、小川の亀の歩みも、この広場の賑わいも。すべてが等しく、この豊かな秋の一日の中で息づいている。
ご一読いただきありがとうございました。日々の歩みのなかで紡いだ言葉たちが、どなたかの心に届き、小さな道標となれば幸いです。




