光と影が紡ぐ、晩秋の静けさ
日常のふとした歩みのなかで、景色がふわりと色づく瞬間があります。今回は、私が散歩道で出会った秋の気配と、胸の奥にある故郷の情景を、いくつかの俳句とともに二つの物語に仕立てました。パレットから取り出したような青空から、足元の小さな虫たちの知恵まで。深まりゆく秋の空気感を、どうぞご一緒に歩くようにお楽しみください。
【第2話:光と影が紡ぐ、晩秋の静けさ】
昨日までの黄金色の海とは打って変わり、すっかり収穫を終えた、どこか寂しげな茶褐色の大地が広がっています。
しかし、そこは決して生命の途絶えた世界ではありません。刈り取りを終えたあとの静かな田んぼに、ぽつりと舞い降りる白い鳥。こぼれた落ち穂を愛おしむように一粒一粒ついばむその背中には、生きとし生けるものが秋の恵みを分かち合う、しんとした調和があります。
苅田にて 落ち穂を拾う 白い鳥
信濃川の堤防へと足を向ければ、足元でカサリと鳴る落ち葉の音。傾く夕日を受けながら歩く一歩一歩が、まるで大河のせせらぎと重なる小さな音楽のようです。光のメロディを奏でる水面を見つめながら、静かに歩みを進めます。
落ち葉踏み 夕日奏でる 信濃川
やがてすっかり日が落ちると、弥彦山は深い影となり、周囲は圧倒的な静寂に包まれます。たなびく薄雲に身を寄せるように、冷ややかで、しかしどこか温かい秋の月が浮かび上がります。静寂の中、越後の秋はゆっくりと夜の深みへ溶けていきます。
弥彦山 雲に寄り添う 秋の月
ご一読いただきありがとうございました。日々の歩みのなかで紡いだ言葉たちが、どなたかの心に届き、小さな道標となれば幸いです。




