祖母の思い出
日常のふとした歩みのなかで、景色がふわりと色づく瞬間があります。今回は、私が散歩道で出会った秋の気配と、胸の奥にある故郷の情景を、いくつかの俳句とともに二つの物語に仕立てました。パレットから取り出したような青空から、足元の小さな虫たちの知恵まで。深まりゆく秋の空気感を、どうぞご一緒に歩くようにお楽しみください。
【第1話:手仕事の温もりと、実りの大地】
菅の紐を解く指先には、歳月を重ねた幾筋ものしわ。青々とした笹の香りがふわりと広がると、その手こそが長年この味と暮らしを守ってきたのだと、今になって深く気付かされます。
笹団子 紐解く指の しわの数
かまどで炊き上がる新米の湯気は、まるで白磁のような艶をたたえて立ち上ります。一粒一粒に春からの手間と祈りが宿っていることを教えてくれるかのように、つやつやと輝く真っ白な米が姿を現します。
新ごめの かまどにのぼる 白き肌
ふと目を遠くにやれば、弥彦の麓に広がる田んぼは一面の黄金色。かつて青々と波打っていた稲田が、見渡す限りの黄金の海へと美しく移り変わっています。季節がそっと着物を掛け替えるように、越後の大地が鮮やかに実りの秋へと模様替えを果たしています。
弥彦の田 黄金の波に 模様替え
ご一読いただきありがとうございました。日々の歩みのなかで紡いだ言葉たちが、どなたかの心に届き、小さな道標となれば幸いです。




