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散歩道 俳句を詠んでみました。  作者: あっちゅ寝太郎


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初茸や ふるさと匂う きのこ汁


日課である信濃川河川敷の散歩道。そこから一望できる越後の山々は、季節ごとに装いを変え、かつて足繁く通った山菜採りの日々を思い出させる。特に縁の深い五泉市の山々、そして菅名岳の懐に眠る名水。山歩きのなかで出会った味覚、喜び、そして神秘。四つの俳句とともに、心に刻まれた秋の山の息吹をたどる、静かな記憶のエッセイ。

 私の日課である散歩道は、信濃川の河川敷にある。


 遮るもののない広い空の下、悠々と流れる大河の向こうには、越後の山々が一望できる。秋の澄んだ空気のなかで青く、あるいは白く染まりゆく稜線を眺めていると、視線は自然と、かつて何度も足を踏み入れたあの懐かしい山々の懐へと引き戻されていく。


 私はかつて、よく山菜採りや山歩きに出かけたものだった。 なかでも新潟県五泉市は、私にとって浅からぬ縁のある街である。春には芽吹く緑を追いかけ、秋には実りの気配に胸を躍らせて、五泉の山々を歩いた。山歩きというものは、ただ体を動かすだけでなく、五感のすべてを使って自然と対話する贅沢な時間でもある。

 秋の山歩きで、何よりの愉しみといえばやはり弁当の時間だろう。木漏れ日のなか、一息つく瞬間の心地よさは何物にも代えがたい。


栗おこわ 炊く湯気のなか 昼休み


 山の中でいただくおこわの、あのもちもちとした食感と、ほくほくとした栗の甘み。目の前で立ち上る白い湯気は、午前中の心地よい疲労感を優しく解きほぐし、山と同化していくような穏やかな時間を運んでくれる。

 だが、山の本当の醍醐味は、歩みを進めるその足元にある。お目当てのものを探し求め、斜面を凝視しながら一歩一歩を踏みしめる。


舞茸や 坂道軽ろし 山歩き


 山菜採りやキノコ探しをされる方なら、きっと分かっていただける実感がここにある。普通なら息が切れるはずの険しい坂道も、お目当ての「舞茸」が視界に入った瞬間、あるいは「この先にあるかもしれない」という予感に満ちているとき、不思議と足取りは羽のように軽くなる。舞い踊るほどの喜びが、体を芯から軽くさせるのだ。

 しかし、山はただ優しい恵みを与えてくれるだけの場所ではない。時として、息をのむような妖艶さと、自然への畏怖を突きつけてくる。


満月や 暗がり浮かぶ ツキヨ茸


 陽が落ち、夜の帳が下りる。満月が木々の隙間から照らすものの、足元は深い暗闇に包まれる。そんな鬱蒼とした森のなか、朽ち木に群生するツキヨ茸が、淡い光を放ってボーッと浮かび上がることがある。その美しさはどこか怪しく、毒を秘めた自然の神秘そのものであり、暗闇の中で五感が研ぎ澄まされるような畏怖の念を抱かせる。

 そうして山を歩き回り、汗をかき、喉がからからに渇いたとき、五泉の山は最高の癒やしを授けてくれた。菅名岳の中腹、岩の割れ目から勢いよく湧き出す「胴腹清水(どっぱらしみず)」の記憶である。


どっぱらに 溢れんばかり 喉潤む


 山壁の文字通り「胴腹」から、惜しげもなくドクドクと溢れ出す清らかな名水。その冷涼な流れを両手ですくい、一気に喉へと流し込む。からからの体に瑞々しい山の命がしみ込んでいき、喉も心もふっと安らぐ。これこそが、山歩きにおける最高の贅沢であり、出会いだった。

 信濃川の河川敷に立ち、遠く連なる越後の山々を仰ぎ見る。

 心地よい川風に吹かれながら、私の心は今も、あの五泉の豊かな緑のなか、溢れ出す水の音を聴いている。


今回は、私自身の散歩道である信濃川河川敷からの風景や、縁のある五泉市での山歩きの思い出を、四つの俳句を交えてエッセイに仕立ててみました。山で出会う物たちは、時に温かく、時に嬉しく、時に妖しく、そして常に私たちの乾きを潤してくれます。ご覧いただきありがとうございました。

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