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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第三章,軌道
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反転した二人

私は廊下を走り去るノエルの腕を掴んだ。


「アオイどうしたの?

ごめん、ちょっと急いでて───」


「あの2人の元へ行くつもりでしょ?

私も同行させてくれない?」


「……貴方は何者なの?」


「貴方ならもう察しがついているかと思うけど、私の口からは言えない」


「なんでついて来ようと?」


「必要な事だから」


「…………分かった。

貴方、戦える?」


(なま)ってると思うけど、多少なら」


「いざという時は自分だけでも逃げてね。

じゃあ、行こっか」


「うん」


町外れの寂れた公園。

そこに2つの影があった。


「ふふ、ほんとに来た。

しかもスペアまで」


「………」


金髪の長い髪をかき上げ、結んでいる人間の男はこちらを見てにやりと笑っている。


「キミと会うのは初めてだね。

自己紹介をしよう。

俺の名はネレイド」


「私はオキナ」


黒髪を2つお団子に結んだ亜人の女性が微笑む。


「私を呼び出してどうするつもり?」


「いやぁ、アオト君ってば封印されちゃってるでしょ。

こっちも手を焼いててさぁ。

そこで隣の子と一緒に来るかなぁって思って」


ネレイドはアオトが封印されている事を知っているようだ。


「最初からアオイ目的だったって訳?」


「へぇ、その子アオイっていうんだ。

よろしくね」


オキナから手を軽く振られるが、私は代わりに睨み返した。


「あら、つれないの。

呼び出したのはね、貴方の事をもっと知りたいなぁって」


「奇遇ですね。

私も貴方達と話したいと思っていましたよ」


「なら、私から。

貴方武器は何?

アオト君は刀だけど」


「……杖です。魔法を主に得意としてますので。

次は私の番です。

貴方達は私と同じく最初から(・・・・)存在していたという記憶を持っていますか?」


「えぇ、持ってるわ。

親から愛されて育った。

今はもういないけれどね」


「次は俺ね。

どうやったらアオト君の封印が解けるかな?

一緒に考えてくれない?」


「もし方法があったとしても絶対貴方達に教えたくないですけどね」


私は杖を出現させ、地面を軽く突いた。

オキナから放たれた、魔力をおびた矢を展開した魔法陣で防いだ。

続いてノエルがネレイドと剣をぶつかり合う。


「急に攻撃してくるなんて」


「こうなった方が面白いだろ?

話してばっかは性に合わない」


「私の相手は貴方?」


「そうなりますね」


連続して魔法を放つも、軽く避けられる。

ネレイドにも魔法攻撃をするも、呆気なく避けられた。


「あっぶないなぁ。

にしても、オキナ相手しながらこっちを攻撃してくるなんて高度なこと。

見立てではアオト君より弱いのは確かなはず」


「その見立ては合ってる。

だから弱いのは私達の方」


「弱い、か。

認めたくないねっ!」


ネレイドが剣を横へ振りノエルが反って回避、衝撃が風となって吹く。


「私の事、無視しないでくれる?」


「無視なんてしてないさ。

ただ、狙いはキミじゃないだけさ」


ネレイドとノエルの激しい攻防の中、私はオキナに向かって魔法をひたすら打つ。

オキナはそれを躱しながら矢を放つ。

オキナの矢を防ぎながら、ネレイドに向かって攻撃を仕掛ける。

それが何度か続き───


「「ペリオリズモス」」


「なっ」


声に振り返るとノエルが拘束され、前を見た時にはもう遅かった。

ネレイドが私に馬乗りになり、両腕はオキナによって地面に押し付けられていた。


「アオイに何するつもり!」


「ちょーっと血を頂くだけだけさ」


首筋に針が刺さる。

あっという間に血を抜かれ──


「ふーん、やっぱりキミ変態だね」


上着をめくられ、下着姿を見られた。


「……っ、変態なのはあんたでしょ!」


「わぁほんと、この子ってやっぱり正反対なのね」


オキナが覗き見る。

やがて興味が無くなったように立ち上がると。


「じゃあ、また会う機会があれば」


手を振って空間に溶け込むように消えてしまった。

私が起き上がると、ノエルがぎゅっと私を抱きしめる。


「助けれなくてごめんね。

あんなの嫌だよね。

ほんとにごめん……」


「貴方が……ノエルが謝ることないでしょ?

……泣かないでよ」


「だ、だって……あんなの女の子にするなんて最低だよ。

怖かったよね」


「………」


本当は怖くも無かったし、見られても何とも思わなかった。

ただ血が取られてしまった事が厄介な事に繋がると懸念しただけ。

そうか、やっぱり私は普通じゃないんだ。


「心配してくれて、ありがとう。

私は大丈夫だよ」


「うぅ……」


ぎゅっと抱きしめるノエルの頭を撫でる。

この子はあの時からずっと変わらない、優しい心で満たされている。

いいな、アオトはこの子に想われて。

でも、今だけは───

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