私は
「そんな、封印だなんて……」
話を聞いたモリンが悲しそうに俯く。
「……どうにかできないのかよ」
「それを今模索中。
アリシア王女やソフィア女王に言って調査してもらってるけど、現時点では待つしかない……かな」
ノエルからの報告後それから自由行動となり、ノエル達は付近の調査へ。
残ったのは私とエンゲ、モリンの3人だった。
「……その言いたくなかったらいいんですけど、フードで隠してて嫌じゃない?」
「え」
そんな事聞かれると思ってなかったから、少し驚く。
「……私は、見た目を晒す事を控えたいというか。
だから、このままで大丈夫です」
「………ねぇ、提案なんだけど街に行って買い物しません?
そこでウィッグとか、可愛いマスクとか、服とかを買って元の見た目とは正反対にしちゃうのはどうでしょう!」
「おいおい、積極的すぎるのはよくないぜ。
ごめんよ、こいつ可愛い女の子見るといつもこうで。
しかもあんな出来事があった直後だし……」
「も、もちろん嫌という事でしたら私も強制はしませんわ。
だけどこういう時だからこそ、自分達に出来る事をしなくちゃと思いまして。
もちろん調査はちゃんと致しますわ!」
「………ふふ、いいですよ」
「やった!」
なんだか懐かしく思う。
モリンは私がまだ『アオト』だった時も、優しく声をかけてくれた。
怒ると雛菊の中では一番怖いけど、それ以上に仲間想いの女性だった。
エンゲは何故か私を嫌っていた、といっても今の私は理由が分かっているけど。
素直じゃなくても守ってくれたり気遣ってくれた事を覚えてる。
2人とも、もう私とは遠い関係になってしまったけれど。
きっとこの感情は私だけのモノ。
だって、私は私として存在しているから。
例え歪でも、アオトのもしもの姿、成れ果てだったとしても。
感情だけは絶対に誰にも渡さない。
それが私が私でいる為だから。
「早く行きましょ」
モリンとエンゲが私を見ている。
私は「はい」と返事をするとモリンの手を取った。
やって来たのは夢で見た事がある程、焦がれていた街だった。
白く角が丸い立方体の建物が立ち並び、オレンジの明かりが灯りこの道を照らしている。
ここは海の深くにある島の為、昼間でも暗い。
「まずは、ウィッグからですわね。
どんなのがいいとかありますか?」
「……結べる長さがいいです」
「色は?」
「んーと……じゃあ紫で。
………その前に髪の毛切ってもいいですか?」
「いいの?」
「はい、いいんです」
「お、ちょうどあそこに店があるぞ」
美容院に入り、雑誌を見る。
順番が来て、肩より少し上辺りまで切ってもらう事にした。
モリン達にはこの姿を見られないように外で待ってもらっている。
本当は髪を切る事を禁止されていた。
それは母から言われていた事で、今のアオトも理由は知らない。
けれど今の私は切ってはならない理由を知っている。
だからこそ切るのだ。
私には不要な事。そして、私の場合切った方がいいはず。
「こちらでよろしいですか?」
「はい、ありがとうございました」
外に出るとモリンが駆け寄りキラキラした目で髪を見ていた。
「すっっごく可愛いよ!
似合ってる」
「ありがとうございます」
「あぁ、いいと思うぜ!」
次にウィッグを売っている店へ。
肩より少し下の紫色のウィッグが見つかった。
美容院で染める事も出来たがそうしなかったのには私なりの理由がある。
私はアオトのもしもの姿。
その事を忘れない為に、地毛を染める事はしたくなかった。
「そのまま被るだけでも可愛いけど……ちょっと待ってね」
髪を2つに分け、緩い三つ編みを結んでくれた。
「この方がずーっと可愛いよ」
「そう、ですか?
……ふふ、ありがとうございます」
マスクを売っている店で、シンプルながら可愛らしい柄と色の物を。
服屋ではメルヘンチックな服を買ってもらい、フードを被らずとも歩ける姿になった。
「色々とありがとうございます。
これで堂々と歩けます。
なんとお礼を言ったらいいか」
「全然気にしないでいいんですのよ?
私が好きでやったものですから」
「そうだぜ。
だから、な?」
私は深くお辞儀をすると、もう一度ありがとうございますと感謝を告げた。
今までの買い物の途中や帰り道、聞き込みや周辺を調べるも特におかしな所は見当たらなかった。




