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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第三章,軌道
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知らない誰か

暗闇の中で見たのは、知らない世界で生活する少女だった。

黒のボブヘアに、青い瞳。

見たことの無い乗り物や風景や物。

その少女はどうやら学校に通っているようだった。

いつも1人で居て、つまんなそうな顔をして過ごしている。


───だけど、その少女は俺には持っていないモノをたくさん持っていた。

家族と暮らして、友達が居て。

好きな物があって、将来の夢まで持っていて。

正直羨ましいなって思った。

全て手を伸ばしても手に入らなかったモノだから。

俺の父さんは殺され、母さんは守れず行方不明。

一番の友達だと思っていた人は考えが合わず遠くへ。

好きな物はあるけど、夢中になればなる程、羨ましくて苦しくなるだけだった。

この職も就きたくて就いたんじゃなくて、生きるために仕方なくやっていたから。

世界云々以前に、住んでいる環境が俺とは何もかも正反対だった。


「お前は……誰、なんだ?」


声を出して問いかけてみた。

すると映像が止まり、少女が今までの顔つきとは違った表情でこちらを見た。


『さて、誰なんでしょう』


「……これを見せる意味は何だ?」


『意味……意味なんて無いのかも。

ただ知って欲しかっただけだったりして』


「………それは本心か?」


『お、鋭いね〜。

半分本心ってとこかなぁ。

意味は……そのうち分かるよ』


「………」


『それよりさ、私についてどう思う?』


「どうって言われても……」


『君の正直な感想でいいよ。

ほら、遠慮せずに』


教室で机に頬杖をつき、俺の答えを待っている。


「………どこの誰かも知らないけど、知ってる……みたいな。

………正直羨ましいと思うよ。

だって、俺に無いモノを持ってる、から」


『……そっか。

私は君の事ちょっと羨ましいって思うよ』


「え?」


『さーて、時間切れのようだね。

……また、どこかで会おうねアオト』


「なんで俺の名前知って───」


そこで視界がぼやけ、やがて真っ白になった。

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