試練
中立組織本部前。
本部に所属している組織と、協力組織が何組か列を成している。
「今日集まってもらったのは他でもない、『大規模作戦』の為」
前に立つのは今年のリーダーであるシャネさん。
「亜人側が大きな動きを見せている。
それにリーダーか幹部が関与している可能性が高い。
だから雛菊の皆には、全員総出で調査してもらいたい。
私たち境界線は全体の指揮をとり───」
シャネさんから各組織のやるべき事を聞き、作戦の地へ向かおうとしたその時。
「待ってください!
私も……ついて行ってもいいですか?」
そう声を上げたのはノエルだった。
「君は確か他の所へ配属されるはずだよね?」
「勝手な事を言ってるのは承知してます。
もちろん足でまといになんてなりません。
お願いします」
深く頭を下げるノエル。
「……見た所実力はアオトより下、ヨミより上って感じかな。
アオトはどう思う?」
「俺に言われても……」
「んーと……じゃあ今から僕と戦ってよ。
僕が納得できるような戦闘ができたらついて来てもいいよ」
「ちょ、ちょっと本気で言ってる!?」
エトリが驚きのあまり止めに入る。
「ありがとうございます!」
「ノエちゃんまで……もう」
諦めたようにため息をつく。
正直こんなの予想外だ。
ノエルなら有り得るが、まさかリツがそんな事を言うとは。
「言っとくけどここで本気を出して疲れてるようじゃ、連れてはいけないからね」
「分かってます」
お互い剣を構え、風が2人の間を通り過ぎる。
やがて止むと、空気が一層張り詰めるのを感じた。
「──ッ!」
リツが地を蹴り、ノエルへと迫る。
ノエルも同じく地を蹴り、攻撃をいなした。
続けて攻撃を仕掛けるリツ。
ノエルは攻撃をいなすばかりで、攻撃する余裕が無いといった様子。
「どうした?まさかこのてい───!?」
ノエルが攻撃を大きく右にいなし、リツに詰め寄る。
が、惜しくも防がれる。
「油断しちゃあダメですよ?」
「……だねっ」
お互い一旦距離をとる。
そして、互いの剣と剣のぶつかり合いが繰り広げられる。
2人とも速い。
目にも止まらぬ速さで剣を振るノエルも、それを防ぎ反撃の機会を伺っているリツも、さながら剣舞のような美しさに思わず見とれてしまう。
「あの2人すごい……わね」
ヨミの言葉にだな、と呟くように答える。
「……ッ!」
ノエルが剣を思いっきり突き、リツを追い詰めたかと思われたが───
「惜しかったね」
リツはそれを避け、ノエルの喉元に剣を突き付けていた。
「そ、そこまで!」
エトリの声に構えを解き、剣を仕舞う。
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。
お陰で有意義な時間を過ごせたよ」
ノエルは戸惑いながらも握手をした。
「そ、それで……結果は」
「うん、合格」
「ほ、本当に!?
ありがとうございます!!」
ノエルはお辞儀を終えると俺の方に駆け寄ってきた。
「合格、したよ」
「あぁ、そうだな。
良かったな」
「うん!」
「よし、それじゃあ行こうか」




