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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第一章,連星
37/83

ノエルの意志

あれから2日が経った──


昼ごはんを食べ終え、ノエルが机を綺麗に拭いている。


「ノエル、家に帰れ」


「え、急に何言って──」


「いいから。

仲直りするんだ」


「できっこないよ……だって、考え方が違うん……だから…………」


「そうだな。違う。

でも、話せば分かるんじゃないのか?」


「家族、だから?」


「……家族でも分かり合えないことだってあるんだろうけど、やるだけやってみるべきだと思う」


「………………そう、だね。

……うん、分かった」


「行くのはノエル1人で」


「──っ………うん」



荷物を全て持ったノエルを、手を振って見送る。


「仲直りできたら、またこっちに来るから。

それからいつも通りの仕事しよ?」


「あぁ、そうだな」


扉が閉まる。

部屋の中にはただ1人。


* * *


私は緊張したように脈打つ鼓動を感じながら村までの道を歩いた。

何も考えることなく、ただひたすらに。


扉を開くと驚いた様子の両親がいた。


「話をしたくて」


「…………」


「……分かったわ。

ほら、ここに座って」


いつも私が座っている席に座る。

お父さんとは向かい合わせの席。

お母さんは私たちをそっと見守っていた。お父さんは新聞を読んでいる。


「……あの時は感情的になってて、私もお父さんを傷つけるようなこと言ってしまったと思う。

それについては、本当にごめんなさい」


「………………」


「……………けれど、やっぱり私の考え方は変わらない。

亜人の事を嫌いになれないし、恨めない。離れることもできない。

殺した人たちのことは絶対、許せないけど。

……私がアオトの仕事を手伝いたいって思ったのはね、アオトが村を守ってくれているのを見ていたことがきっかけなの。

かっこよくて、強くて……憧れるなって。

大好きな村を守ってくれてる人のことを知りたかった。女の子を助けた時の彼の目、すごく真剣で。

その時、私のやるべき事が分かった気がしたの」


「気がした、だろ。

あいつが何の仕事をしているのか分かった上で仕事しているのか?」


新聞を置き、私の目を見た。

その顔は険しくて、けれど2日前と比べて少し和らいでいるようにも見えた。


「……分かった上でしてるよ。

アオトが中立組織にいることも、知ってる」


「何故お前は、そこまでしてあの男の隣に居る?」


「人間と亜人の歴史を知って、やるべき事を見つけたの。

……これはアオトにはまだ言ってないけど、いずれ私も中立組織に入るつもり」


「……っ、それは──」


お父さんが反論しようとするのを、お母さんが手で制した。


「アオトが話してくれたんだけどね、中立組織には戦えない人もいるって。その人たちは別の形で支えてくれてるって。

私、そうなれたらって思ってるの。

それぐらい私の意志は固い。反対されても絶対になるって決めてるから」


「……………っ」


「ノエル、それが何を意味してるのか理解しているの?」


お母さんが優しく、けれど反対に強く問いかけるように言った。


「うん」


「……そう。

まぁ、この話はそうなったらの時に話しましょ」


「……………」


お父さんは無言のままで、悔しそうな表情でいた。


「……私、お父さんと喧嘩したままじゃ嫌だよ」


「…………考え方を変えるつもりはないんだな」


「変えようとしても、もう変えれないと思う」


「………………そういう所はお前の母さんに似て……はぁ。

好きにしろ」


「──っ!……ありがとう」


* * *



「──て事になって。

お父さんとなんとか仲直りすることができたんだ」


「そうか。

それは本当によかった」


「ふふ、うん!」


そして、いつも通りの日常が戻ってきた。

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