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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第一章,連星
28/83

予想外

次の日。

ノエルがそろっと扉を開け、入ってくる。

俺は立ち上がり、ドキドキしながら言葉を待っていた。無論、表にはそれを出さずに。


「勿体ぶらずに言うね。

お母さん、いいって」


「……っ、いいってちゃんと説明したんだろうな?」


「うん。どういう島に行くかもちゃんと説明した」


「なら、なんで………」


「その代わり、アオトと会って話がしたいって。

それで本当に行っていいか決めるって」


「…………」


「約束、したよね」


「それは分かってる」


正直、許可されるなんて思ってなかった。

いくら仕事とはいえ、呪いの島なんて不吉な呼ばれ方をする島に行かせるなんて。

しかもその条件に俺と会って話したいって……。

親に仕事隠してるのに、いいのか?


「あ、前に親には秘密って言ってたけどお母さんにはバレてたみたい……。

まぁバレない方がおかしいみたいな感じだけど……。

お父さんの方は忙しくて家にこもりっぱなしか、時々街の方に行ったりするからバレてはないみたい」


「………………」


ローブを羽織り、荷物を背負う。


「……ほら、行くぞ」


「うん」


* * *


村に着くと、噴水の前にノエルの母らしき人が立っていた。


「お母さん、連れてきたよ」


「この人がアオトさんね。

知ってはいたけど、こうして話すのは初めてね」


ノエルと同じ色の長い髪、綺麗で整った優しそうな顔。

身長も高く、俺と同じくらいだ。


「そう、ですね」


「娘がいつもお世話になってます」


「いえいえ、こちらこそ……」


何を話せばいいのか分からない。

第一ものすごく気を遣う。


「…………」


「えっ──」


一瞬だった。

さっきまで数歩離れていたノエルのお母さんが目の前に、深く被っていたフードを持ち上げ目が合った。


「お母さん、何やってるの!!

ご、ごめんね……お母さん時々こういう謎の行動しちゃうっていうか……その……」


「い、いや……だ、大丈夫……な、はず」


今ので知られてしまった?自分が、亜人であることを。

フードを持ち上げたんだ……その時に見られた可能性は高い。

ノエルも俺も、その事を一番に気にしていた。

……それもそうだが、あの動き……普通じゃない。

ノエルもノエルのお母さんもいったいなんなんだ?


「……うん。任せて大丈夫そうですね」


「「へ?」」


ノエルと反応が重なった。

もう……何がなんだか分からなくなってきた………。


「アオトさんの目を見てね、分かったのよ。

あぁ、この人は優しくて強い人だってね。

そりゃあノエルも憧れるわね」


「お、お母さん……なんでその事を!?」


「ふふ、お母さんはノエルのお母さんだもん。

ノエルのことなら、なんでもお見通しよ」


そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべる。


………………。


「それじゃあノエルのこと、よろしくお願いしますね」


「はい。ちゃんと責任持ってお守りします」


「ふふ、よし。

行ってらっしゃい」


「行ってきまーす」


軽く頭を下げ、ノエルと共に村を出た。

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