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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第一章,連星
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島から島へ

ノエルと街まで移動し、島の受付──ここで手続きをして島へ来たり、他の島へ行くための場所──にやって来た。

お土産屋などの小さなお店がいくつかあるので、島から出たことの無い人も訪れることがあるらしい。


「ノエルはここに来るの初めてか?」


「ううん、来たことあるよ」


「そう、なのか?

さっさと手続きを済ませて島を出よう」


「そうだね」


簡単な書類に必要事項を書き込み、島の出口まで移動した。


「なんか次の島までロープ?みたいなのが張ってあるね」


「だな。噂によると将来今とは違う方法で島を行き来できるようになるらしいな」


「へぇ、そうなんだ」


「もうすぐ風が来ます。出られる皆様は準備してください」


島への移動手段は2つ。

1つは島から吹く風に乗ること。

2つ目は島から放出される水に流されること。

一般的に海に沈む島以外は風での移動がほとんどだ。

ポリアフは水に沈む部分と陸の2つに分かれており、今回向かうのは陸の方だ。


「ノエル初めてだよな?

もし怖いのなら、俺に掴まってもいいからな」


「風で海の上を飛んでいくんだよね。

……ちょっと不安かも」


「分かった」


「来ます!3・2・1──」


皆、一斉に走り出し地面の無い場所へとジャンプした。

ノエルを抱きしめ、俺たちも続いてジャンプした。

体勢を整える。風が全身を押し上げるような久しぶりの感覚。


「大丈夫か?」


「う、うん……アオトが支えくれてるおかげで」


「下見るなよ。こんな所でパニックにでもなられちゃあ困るからな」


「言われなくても見ないっていうか……見れないよぉ」


それから3分程経ち、遠く見えていた島は目の前に。

もうすぐ着地しなければならない。


「俺が支えてるけど、このまま着地するか?

それとも俺が抱きかかえるかどっちがいい?」


「だ、抱きかかえる!?

う、うーんと…………い、いや大丈夫」


「まぁ人前だと恥ずかしいか。

……そろそろだ」


左手はノエルの腰に添え、右手で手を繋いだ。

どんどん地面が近づいていき、慣れたように駆け足で着陸する人が目に入る。

俺はノエルに合わせ、少々砂埃を上げながらも無事着地することができた。


「ふぅ……どこも怪我とかしてないよな?」


「アオト心配しすぎ。

……どこもしてないよ。ふふ」


「な、笑うことないだろ?」


「違うの。アオトも少しは素直になったのかなって。

前までは心配するのも遠回しというか、そんな感じだったから」


「うっ……そ、そうか?

それより手続き済ましてムニンに行くぞ」


太陽が燦々と地面を照らし、道の脇にはまだ雪が残っていた。

アレスとは正反対の気候、この島は一年中冬でもちろん寒い。

そのため俺もノエルも防寒対策はちゃんとしてきた。


「さ、寒すぎない?私こんなに寒いの初めてかも……。

アレスで寒いって言っても軽く羽織えばなんとかなるし。

この寒さはその何倍も寒いよ……」


「俺のマフラー上から羽織るか?

ずっと着けてたから温かいと思うし、大きいから羽織るのにちょうどいいんじゃねぇか?」


「いいの?アオト、寒くない?」


「俺なら平気だ。慣れてるしな」


そう言いながら、ノエルにマフラーをかける。


「あ、ありがとう……だいぶましになったよ」


「じっとしてるより動いた方がいいだろうし、早速目的地へと向かうか」


上から配られた地図を見ながら街を歩き、やがて人気の無い草むらへ。


「この近く…………ここだな」


「あ、あれが……今から私たちが向かう島」


島の端、誰も近寄ることの無い場所。

目の前には他の島より小さいとはいえ、人からすればとても大きく、視界に収まりきらない程の島が離れた所にあった。

その大きさ故にすぐ近くにありそうと錯覚してしまいそうだが、実際は結構距離がある。

防寒具など羽織っていたものを脱いで仕舞い、鞄の中からある紙を出した。


「ど、どうやって行くの?受付みたいなのは無いみたいだし……」


「えーと、上から配られた資料によると……8時間に1回吹く風に乗れば行ける、と。

今の時間に近いのは………あと10分っていうところか」


「あと10分で……」


「今更怖気付いてるのか?

家に帰りたい、なんて言うなよ?」


「そんなこと言わないよ!

……ただ、ちょっと緊張してきただけ」


「……心配するな。俺がお前を守ってやるから。

だから、決して傍を離れるんじゃねぇぞ」


「アオト……。

ありがとう」


──話している間に、いよいよ時間が差し迫ってきた。


「あと少しで来るぞ」


「アオト、手だけ繋いでいい?」


「それだけでいいのか?補助」


彼女は島をじっと見つめていた。


「頑張ってみたいの」


「風強いから、離れないように強く握るぞ」


「うん」


島からぶわっと音を立てて風が吹き始めた。


「行くぞ、せーのっ」


強く握った手を離さないように、身を任せるように、勢いよく飛んだ。

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