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青き華よ希跡なれ  作者: 溶枸由 佳月
第一章,連星
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めんどくさい二人

ノエルと出会って約2ヶ月半が経った。

ノエルと仕事をすることが当たり前に、ノエルと過ごすことが当たり前になっている。

そう、今の俺は前とは違う。ノエルが隣に居なかったあの頃とは。

ノエルという少女とたくさん話して、一緒に過ごしてノエルの事をたくさん知っている。

だから……きっとそうなった時俺は───


続きが浮かぶ前に、窓の前に手紙が置いてあるのが目に入った。

窓を開け、手紙を手に取り中身を確認する。



────────



「……これは、ノエルには言えないな」


「おっはよー!」


「……元気だな」


元気な声とともに扉が開き、ノエルがやってきた。

また、タイミング悪く……。


「それって、手紙?」


「あぁ。でも、なんてことないやつだから」


そう言って普通に片付ける。


「ふーん……。ねぇ、手紙ってどうやって届いてるの?

村なら、郵便屋さんが届けてくれるけど」


「伝書鳩だ」


「なるほどね〜。私鳩さんが手紙置いてるとこ見たいなぁ」


ノエルは笑顔のまま近づいてくる。


「な、なんだよ……」


「……で、私に何隠してるの?」


「は?何も隠してねーよ。

そうやって何でもかんでも疑うのやめろ」


「……バレてないとでも思ってる?

実は私、アオトが手紙を取ってるとこ見てたの。扉を開ける直前に呟いた言葉も、聞いてた」


「ちっ……」


「アオトって、本当に隠したい事は上手く隠すんだね。

流石に聞いてなかったら分かんなかったよ、私」


「さっきの俺をぶん殴ってやりてぇ気分だ」


「それで、なんで言えないの?」


「……………」


「意地でも言わないつもり?」


「あぁ」


「………私を危険な目に遭わせたくないって、想ってくれていることは分かってる。

自分がわがままだってことも」


「なら──」


「私だってアオトのこと心配なの。傍にいて、一緒に手伝いたいの。

………足手まといってこと、分かってるけど」


「別にそうは思ってねーし、簡単に死ぬかよ。

ノエルは知らねぇと思うし、自分でも言うのもなんだが、俺が所属してる組織は本当に強いやつしか入れないし選ばれない、認められないんだ。

だから心配すんな」


「じゃあ、逆の立場でも同じこと言える?」


「……逆って」


「言えるの?」


「………………あぁ、めんどくせーな!

今回の仕事はとある島に行って調査してこいって、依頼されたんだよ」


俺には分かる。

きっと、いや……絶対ノエルは俺が口を開くまでこういう話を延々と続けるだろう。


「とある島って?」


「ポリアフの近くにある、『ムニン』って島だとよ。

そこは何度も人が住もうと試みるも、いつも必ず住めなくなる“呪いの島"とも呼ばれている不気味な島だ」


「その、こんな事言うのはあれ……なんだけど、ポリアフにいる亜人に頼んだら早いのにって」


「俺もそう思ったけど、どうしても離れられないからだってさ。

皆に比べて暇だし、おまけに休暇みたいなのも貰ったからな。これぐらいやらないと」


──もしかしたら、この方法ならノエルを連れていかずに済むかもしれない。


「日帰りじゃなく、1日かかるかもしれねぇ依頼なんだよ」


「え、そうなの?

……その間、村はどうなるの?」


自分のことより村のことを気にするんだな。

……優しいな。


「信用してるノエルに任せるってのはダメか?」


「………信用してるって言葉、すごく嬉しい。

……私、当ててもいい?」


流石にこれぐらいじゃあ、ダメ……か。


「当てれるんなら」


「街の方に亜人がいるって言ってたよね。

その人に任せて行こうとしてたんじゃないの?」


「……なんで分かるんだよ」


「前にもう1人亜人がいるって言ってたこと思い出して、もしかしてって……。

想像力豊かすぎるかな」


「豊かすぎるな」


「……ふふ、だよね。

昔から、なんだ。これも。

普通の人が分からない事が分かっちゃうの。……変だよね」


「変、じゃねーよ。

それを言うなら俺だって…………他の亜人とは違う存在、だから。

普通とは違う、から」


「……それって………………ううん、言葉にしないでおく。

やっぱりすごく優しいね、アオトは」


「………仕事でその島に行くことを親に言って、許可をもらえたら特別に連れてってやる」


さっき思いついたのはこちらの方法だ。

親が簡単にそんなことを許すはずがない。

何せ大事な娘だし、村から、島から出たことが無いんだ。

許可をもらえる可能性が低いはず。


「………ほんとに!?やった!!」


「まだ決まってねーだろ」


「うん。だけど……きっと行けそうな気がする!」


「そうか」


お願いだから、許可しないでくれ。

嫌な予感がする。

……とてつもなく、後悔しそうな何かを。

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