ジェネシス
世界創造はこの魔国にどんな影響を与えるか、俺でさえ想像つかない。
家族は浮遊諸島に置いてきた、別れの挨拶は済ませたのだ、未練は無い。
最後に、思い出深い夏蜜柑を食べる。
全ての命がコレから始まったなんて、普通は夢にも思わないだろう。
冥界樹の周りには俺の創り出した144体の魔族、これから始まる新たな時代の幕開けに、死の恐怖より、生への期待が膨らむ。
俺の手を離れた世界はどうなるのか?
平和な世界、戦乱の世界、幻想、現実、未知。
どう転がっても最高だ、全ては俺の想像通りであり、予想外なのだから。
ただ唯一、俺はその世界を俺として楽しむ事ができない事だけが残念だ。
俺の想像がまだ許されるのなら、「キュウ」の名に相応しい、新たな命が欲しい。
ウォレイ城、玉座の間。
もう何年も座ってなかった椅子の感触を確かめながら、俺は呼吸を整えていく。
用意しておいたナイフで、両手首と両足を切る。
ゆっくりと目を閉じた俺の身体が、世界に溶け始める。
右腕は人魔へ。
左腕は鋼魔へ。
右足は獣魔へ。
左足は爬魔へ。
残った身体は妖魔へ。
血が抜けると同時に、俺の肉体は冥界樹の魔力流と共に新たな命を目覚めさせていく。
最後に残った血の一滴が零れ落ちると、玉座の上に赤い欠片が佇んでいた。
その後、世界がどうなったのか、今の俺に知ることはできなかった。
母なる大地は静かに語る。
父なる大樹はあの日を語る。
炎に包まれ現れたるは、世界を生みだす魔の神。
たった一人の神様は、世界の願いを叶えて歩く。
美しくなりたいと願った大地に草木を与え、自然を生んだ。
大地に命が宿ると、神は自らを犠牲に、命を生みだしてくださった。
右手を切り落とすと、人が生まれ。魔学の神が生まれた。
左手を切り落とすと、鋼が生まれ。技術の神が生まれた。
両手だけでは足りないと、両足を切り落とし、それぞれが自然の神と大地の神になった。
まだ足りないと言われた神が、残った全てで調停の神を生みだした。
五の神は世界に新たな命を芽吹かせた。
それぞれの神の特徴を持つ、魔族の誕生である。
五の神、五の種族は互いに尊重し合い、繁栄を築いていった。
魔国・創世神話の物語
第一部完!
・・・え?これが本編じゃないのかって?こまけぇこたぁ良いんだよ!(若干ハイ
ここまでが、創世神話編となります。
ライトノベルっていうよりは設定資料文みたいになっちゃってますが。
次章からは本格的な幻想物語を書いていこうと思います。
若干戦記物っぽい雰囲気があるかも?
感想お待ちしております。




