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8話 欲望

私は刀を振り続けた

さっき見たルイの動きを頭の中で繰り返しながらひたすら続けた

ルイは何も言わない

私の動きを笑顔で見守るだけだった

それが私の心をざわつかせ、さらに打ち込むきっかけになった


「はぁ、はぁ、はぁ、」


息が苦しくなる

けれど確実に私の動きは最初とは比べられないほどよくなっているのが分かった

だからやめられない

私は初めて自分の成長を感じられるこの瞬間が楽しかった


私が刀を振り始めて大体1時間ぐらいたった頃

扉が開き矢守さんが帰ってきた


「満腹満足!マリちゃん変な奴入ってこなk…」


矢守さんが私の動きを見て固まった


「?どうかしましたか?」


そう尋ねた


「ねぇ、マリちゃん。私がいない間、誰か来た?」


「いえ。特に誰も来ませんでしたが」


それを聞いて矢守さんはニヤリと笑った


「そうかなるほど、なのになんで?」


矢守さんは腰辺りから素早く拳銃を取り出し私に向けて引き金を引いた

とっさに私は刀を構えるとたまたま刃に当たり弾丸を弾いた

実弾だった、当たったら死なないまでも怪我はしただろう


「いきなり…!なにするんですか!?」


それを見た矢守さんは笑顔のまま答えた


「自覚ないのー?マリちゃんさっきとは比べ物にならない程強くなってる

今のだって見えてたんでしょ?でも人はこんな短時間でここまで成長しないよー?

だから、私も我慢できなくなっちゃった!」


続けて三発の弾丸が飛んできた

私もそれを見て気付いた

飛んでくる位置、タイミングが見える

私は刀を振りそれを弾いた

成長してる、今この瞬間も!

私は思わず笑ってしまった


「やっぱり!間違いじゃないんだぁ

実は私も宮村君との試合を見て、君と戦ってみたかったんだ!」


そう言ってまた矢守さんは数発、拳銃を撃ってきた

今度は私から外れている


「なわけないじゃん!」


突然弾丸の軌道が変わり、私に向かってくる

身体を捻り、後退しながら躱す

弾丸はさっきまで私の腕や足があった場所を正確に通過していった


「嘘嘘!ほんとに!?これもよけれるの!?

なら、お姉さんちょっと本気出しちゃうよ!」


矢守さんは右手は構えたまま左手でもう一丁の拳銃を取り出した


「マリちゃん、私と踊ろう!」


さっきとは比べ物にならない量の弾幕が私を襲ってきた

こんな状況でも、心臓は平常心を保ちゆっくりと鼓動をしているのを感じる

楽しい!

見える。戦えている。この状況を私は楽しく感じていた


「くっ…!」


しかし、刀で弾きながら対応するが量が多すぎる

それに一見当たらない軌道でも突然向きが変わって私の方に飛んでくる

情報量は馬鹿にならない。常に更新し続けなければ!

身体は動く。躱せる!弾ける!!

楽しい!楽しい!!もっともっともっと!!!

心臓が大きく跳ね上がった

髪がなびく


「いいね、マリ。その感覚を忘れちゃいけないよ」

ルイが何か言った気がしたが私には届かなかった


視界が広がり弾丸がさらに見えるようになる

私は近くにある弾丸すべてを撃ち落とした


「それそれそれ!お姉さんはそれが欲しかったぁ

やっぱりマリちゃんいいねぇ

けど?」


矢守さんは両手の拳銃を上に投げた


「実戦経験の違いってやつー?今マリちゃんはそこで避けるだけで動けない

それに、そろそろ終わりにしなくちゃあ、お昼が遅くなっちゃうから」


投げた拳銃が落ちてくる前に腰から新たに2丁の拳銃を取り出した

素早くそれを撃った後、また上へ投げ、落ちてきた拳銃を取る

またそれを撃ち上へ投げる


「楽しかったよ。またやろうね!」


先ほどとは比べ物にならない量が迫ってくる

見えるからわかる、これは躱せない

的確に狙われた弾丸は私の全身を撃ち抜いた


「…あれ?」


痛くない、体に当たった弾はどれもスポンジ弾に変わっていた

一瞬気を取られた隙に矢守さんは私の額に銃口を当てていた


「私の勝ちー!!」


そう言って矢守さんが笑った

瞬間私は足の力が抜けその場に座り込んでしまった


「おや、お疲れだねー。さて、ご飯行こうか!」


矢守さんは朝と変わらない様子で私にそう言った


「いつ、弾を変えたんですか?」


上がった息を整えながら尋ねた


「それは企業秘密。いつか見破ってくれたらお姉さんうれしいなー」


私はそれを聞いて思った


「私は、まだ弱いんですね…」


「そんなことないよー!才能はピカイチ!

私の弾を初見であそこまで避けられる人なんて

あんまりいないんだから」


それを聞いて私は少しうれしくなった


「早く食堂行こう!私またお腹減っちゃったー」


そう言って矢守さんがドアへ向かった


「矢守さん、また食べるんですか?」


「ギフト使った後ってお腹すくんだよー」


ドアを開き、手招きしている矢守さんは可愛くて

私は思わず笑ってしまった

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