34話 至急の要件
私たちは月元隊長の元から、直接隊長室へと向かった
「そういえば、私は制服ですけど、二人とも私服ですよね?」
私は若菜さんと、矢守さんの服装を見た
「いいーんじゃない?あの人は服装ぐらいでうるさく言わないよー」
矢守さんはそういって進んでいく
「うちも白衣の下は基本私服やから、制服持ってきてへんなぁ」
若菜さんは笑ってごまかした
そんな会話をしていると、隊長室にたどり着く
「失礼しまーす」
そういって矢守さんが扉を開け、中に入った
私も続き中に入る
中には私服の隊長が座っており、その隣に副隊長が立っていた
「来たな、三人とも」
そう言って隊長が立ち上がった
「望月、武器はここに置いていけ」
隊長がそういって机を指さした
私が武器を下すと、副隊長が廊下へ出るように促した
「さぁ、行こうか」
そう言って隊長を先頭に歩き出した
いつもの訓練場にたどり着き、扉を開けると
十三番隊の人達が全員集まり、きれいに並んでいる
皆私服だが、顔つきは険しい
私たちはその後方に並び、隊長は私たちが並んだことを確認すると、
大きく息を吸い込んだ
「総員、聴け!」
メガホンで叫んだと思うほどの声量で隊長が叫んだ
無意識に背筋が伸びてしまう
「今回我々が行う作戦は、実に大変なものになるだろう
だが諸君らなら必ず遂行と確信している!」
隊長はぐっとこぶしを握った
「今作戦において、一切の戦闘は許可されない
ゆえに、武器の持ち込み、正体がバレるなどあってはならない!
笑顔で楽しく作戦に臨むように!」
「さっき武器を置いて行けと言われたのはこの為か」
ルイが私の隣でつぶやいた
「では作戦行動に移行する!現地まで、3班に分かれて移動を開始しろ!」
そう言って周りでは班ができていく
「うちらはどうする?」
若菜さんが首を傾げた
「そろそろ来るはずだよー」
矢守さんが目線を向けると名取さんがやってきた
「僕達も入れてもらっていいかな?」
「なとりん遅ーい!」
矢守さんが軽く名取さんをバシバシと叩いた
「相変わらずだな、矢守」
声の方を見ると、若菜さんの隣に、いつの間にか宮村さんが立っていた
「うおっ!?あんたいつの間におったん!?」
若菜さんも気づかなかったようだ
「僕達も、いいですか?」
亀井さんと遠藤さんもやってきた
「望月さん、もう大丈夫、なの?」
亀井さんが恐る恐る聞いてきた
「そういえば、マリを助けるときに振り払ったままだったな…」
ルイがつぶやいた
「はい!もう大丈夫です!大丈夫になりました!」
ルイを少し睨みながら、私はなるべく元気に見えるように答える
目が合ったルイは視線を逸らした
「とりあえず移動を始めよう。僕たちが最後だ」
周りを見ると、他の人達の姿はなかった
「なら、私達も同行してもいいかな?」
少し離れたところで笑顔の隊長が手招きしている
「隊長、人望無いのー?なんで、残ってるのさ?」
矢守さんがそういうと、隊長の動きがぴたりと止まり床にへたり込んだ
「私だって、残りたくて残ってるわけじゃないんだぁ…
ただ私といると、みんな顔がひきつるんだもん…」
そう言ってシクシクと泣く隊長を副隊長が立たせた
「悪いが、俺たちも同行させてくれ。コレの面倒は俺が責任をもって処理するから」
副隊長はそういって笑った
「別にいいよー。ね、みんな」
矢守さんが振り返る
「もちろんですよ!一緒に行きましょう!」
私がそういうと、隊長の顔がパッと明るくなった
「私はお前たちが大好きだー!」
そう言って隊長は私たちに抱き着いた
「隊長、苦しいです!」
「あはー、うざーい」
「離れろ、もう行くぞ。時間に間に合わなくなる」
そう言って副隊長が隊長を引きはがした
「そうだ!みんな急ぐぞ!」
隊長がはっとして扉へ急いだ
「なんや、尾藤隊長って、子供見とるみたいやなぁ
偉ぶらんし、隊長っぽくなくて、親近感湧いてくるわ」
若菜さんはそういった
「でもあの人ー、馬鹿みたいに強いよ。相手の動きを的確に追い詰めてくるの
戦闘能力は全部隊トップかも―?」
矢守さんはにやりと笑った
「はぁー、人は見かけによらんね」
「三人とも何やってるんだ。早くいくぞー」
名取さんが私達を呼んだ
私たちは顔を見合わせ、三人で名取さんの元へ走り出した




