表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/35

30話 台風のち嵐

「成程なぁ。マリちゃんも難儀な身体やな」


私とルイのことを説明すると、若菜さんは腕を組みながら、うんうん、と頷いた


「はっ!?てことはやで!?マリちゃんその年で同棲しとるっちゅうことか!?」


若菜さんが目を見開きながら言った


「ど、同棲!?違います!!私とルイはそんな関係じゃ!」


「いーや!そういうやつはみんな同じ事言うんや!

ええなぁ、私も彼氏の1人や2人欲しいわぁ!」


矢守さんがお菓子を呑み込んで口を開いた


「2人もいたら問題じゃないー?」


若菜さんはウッと言葉に詰まった


「まさか矢守からその言葉が出るとは思わんかったわ…

でも、矢守だって彼氏ほしいやろ!あんたも同じ独身仲間やもんな!」


矢守さんがお菓子を口に入れながら少し考えた


「今は別に、かなー。」


それを聞いた若菜さんはやれやれと言う顔をした


「そりゃそうやな、矢守は愛しの名取さんがおるもんな?

はーやれやれ、ほんまの独身はうちだけかいな…」


「遺言はそれだけでいいかなー?」


そう言って矢守さんが若菜さんの襟を持って首を絞め始めた


「ギブギブギブ!うちが悪かった!だから許して!」


矢守さんの手が緩んだ隙に、若菜さんは私の背中に回り込み、矢守さんへの盾にされた


「若菜さん、私も違うって言いましたよね?」


私は若菜さんに向き直り、若菜さんの両肩をガシッと掴んだ


「あかん!こっちも敵やった!」


と、言いながら若菜さんは笑った

それに釣られて私と矢守さんも笑ってしまった


「そ・れ・よ・り。」


若菜さんは私の腕からするりと抜け出し、私の背後から抱き着いた


「マリさーん、医療棟に興味ないか?マリちゃんのあの治癒能力、即戦力クラスなんやけどー?」


若菜さん甘い声で私の耳元で囁いた


「マリちゃんは、私の!部下なのでー、若菜にはあげなーい!」


そう言って矢守さんが若菜さんから私を引き剥がした


「あーん、せっかくの大物やのにぃー…」


若菜さんが悔しそうな目で見つめてきた


「私からもすいません。

今は矢守さんの近くで、学びたいんです」


「嬉しい事言ってくれるねー!

先輩冥利に尽きるよぉ〜」


矢守さんが抱きつきながら頬擦りしてきた


「そっち仲良くてええなぁ

…こっちなんてなぁ」


若菜さんの拳に力が入る


「こっちなんて、毎日毎日報告書、手が開けば他の仕事を任され、しまいには、帰り際にクソマズ新薬の試飲…

もう嫌やこんな生活、うちも、そっち行こうかな…」


「若菜って戦えるの?」


「うちは代々、武家の家系でな、武術は祖母から仕込まれたんや」


そう言って若菜さんは胸を張った


「なら、うちの隊長に言っとくー?

隊長なら、喜んで引き抜いてくれるよ?」


「うーん、ほんまに頼もうか悩むわ…」


その時、部屋の扉が勢いよく開いた


「話は聞かせてもらった!」


尾藤隊長が笑顔で入ってくる


「うちのエース達の目が覚めたと名取から報告を受けて来てみれば!

まさかまさかの、大展開!

2人とも、よく大物を捕まえたな」


そう言って笑いながら、私と矢守さんの頭を撫でてくれた


「や、でも、医療棟は常に人手不足やし、異動できるかは…」


「安心しろ!私があいつと話をつけてくる

面倒事は黒木がやってくれる、若菜はうちに来れる

みんなハッピーだ!」


「それ、副隊長だけハッピーじゃないんじゃ…」


私がそう言うと、隊長はニヤリと笑った


「マリの件を黒木に任せてから、机仕事ばっかりだったからな。

ここらでそろそろ、あいつの仕事も増やしてやるんだ…

フフフ、刀夜(とうや)め、今に見てろよ…」


そう言って怪しく笑う隊長はとても楽しそうだった


「では早速、私は話をつけてくる」


そう言って隊長は部屋を出ていった


「相変わらず、台風みたいな人やなー」


若菜さんはあっけにとられている


「何か隊長のあのテンション久しぶりに見たな―」


矢守さんは追加のお菓子を口に放り込んだ


「そういえば、そのルイ?だっけー?今は出てこないの?」


矢守さんが聞いてきた


「確かに、そろそろ起きてもいいと思うんですけど…」


私はルイに呼びかけるが返事がない

いつもなら、呼べば笑顔で現れるはずなのに


「なんか考え事でもしてるんとちゃう?

それか、こんな美人が三人もおるから恥ずかしくて出てこれんとか?」


若菜さんが笑った


「確かに!それはあるかもしれませんね!」


そう言って笑っていると再び部屋のドアが開いた


「失礼します!ここに望月さんはいらっしゃいますか!」


入ってきた男性が大きな声で聞いてきた


「私が、望月ですけど…」


恐る恐る手を上げると、男の顔がぱあっと明るくなる


「それはよかった!お師匠様から、

あなたを連れてくるように申し付けられました!

あ!申し遅れました、俺は月見 大輝(つきみ だいき)と申します!

では、早速向かいましょう!」


そう言って男性が私の腕を掴んだ

とたん、矢守さんがボールペンを、若菜さんが果物ナイフを男性の首に突きつける


「…なんのつもりでしょうか?」


男性が2人に尋ねた


「女性のエスコートがなってなーい」


「そもそもお師匠様って誰や?あんたどこにマリちゃん連れてく気なん?」


それを聞いた男性が私の手を放し、2人が首から武器?を放すと

勢いよく90度のお辞儀をした


「すいません!説明不足でした!申し訳ありません!

お師匠様は、二番隊隊長月元様でございます」


月元隊長からの呼び出しだった


「なんの要件でしょうか?」


「私は連れてくるよう申し使っただけですので、内容の方は分かりかねます」


男性はお辞儀をしたまま答えた


「わかりました、着替えてくるので少しお待ちください」


「ありがとうございます!何時間でも待ちますので!」


私は自分の病室に戻り準備を始めた



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ