18話 分岐
翌日、私は隊長室の前に来ていた
深呼吸をして、ドアをノックする
「いいよー」
中から隊長の声が聞こえた
「失礼します」
そう言いながらドアを開けた
中には書類に埋もれながらも、ゆっくりと手を動かす隊長
それを見ながら、笑顔で缶コーヒーを飲む副隊長がいた
「ねぇ、刀夜。マリちゃん来たし、いったん休憩とか…」
「望月、話は俺が聞こう。どうした?」
副隊長は私を椅子へ座らせた
隊長からはすすり泣く声が聞こえる
「実は、休日に矢守さんと出かけている時に、ノマドと接触しました」
2人の動きがピタリと止まる
「…はぁ、尾藤。お前もこっち来い」
そう言われた瞬間、物凄いスピードで私の向かい側に隊長が飛んできた
「それでそれで!周りの被害は?報告遅くない?」
尾藤隊長は物凄い勢いで詰め寄ってきたが、顔は笑顔だった
「被害はありません。会話だけでした。でもその時に、住所が書かれた紙を渡されて…」
そう言って紙を差し出した
「その時、ノマドは何か言ってた?」
「近いうちに、君達は必ず壁に当たる。その時に君達がどうするのか、
俺はそれが楽しみで堪らない、と言ってました。
あと、この紙は隊長に渡すように、と」
私は会話をできる限り思い出し、隊長に伝えた
「…ふーん。黒木、白鳥呼んでくれ」
副隊長は頷くと部屋を出ていった
「とりあえず、周りに被害を出さなかった、冷静な対応よくやってくれた
調査を送るから、その後の対応は望月の力を借りる。頼んだよ」
私は頭を下げると、部屋を後にしようとした
「あ、望月もう一つ。これはここだけの話ね
仕事の鬼を追い出す口実をありがとう」
そう言って尾藤隊長は笑った
隊長室を後にした私はある場所に向かっていた
「マリ、今日は訓練室行かないの?」
ルイが私に聞いてきた
「今日はね、いつもとは違うことをしたくて」
私がそう答えると、ルイは少し不思議そうな顔をした
しばらく歩いていくと、何かに気づいたルイの顔がだんだんと曇っていく
「ねぇ、マリ。この道、気のせいだよね?」
ルイの笑顔が引きつっている
「気のせいなんじゃなーい?」
私はそう答えた
しばらく歩き、目的地に着くと中に入る
ドアを開けて入ると、中にいる女性がこちらに気づいた
「あら、マリはん。いらっしゃい
今日はどないしたん?」
月元隊長が笑顔で言った
「今日も稽古をつけてもらいたくて」
「それはええけど、あんたのお師匠はいいん?」
月元隊長は首を傾げた
「大丈夫です!それより今日は、前と少し違いますからね!」
月元隊長が木刀を取るために振り返った瞬間、私はルイと入れ替わる
「…は!?」
ルイは私の行動を予測していなかったようだ
「ルイ、見稽古って知ってる?」
そう言って私は笑顔でルイに言った
「はめられた…
昨日の仕返しのつもりかい?」
ルイが呆れた顔でそう言った
「いやー?見るのも大切な稽古だって気付いただけだよ?」
そういう私を見て、ルイは笑った
「ふーん、なら、少し覚悟しといたほうがいいよ」
月元隊長が木刀を取り、戻ってきた
「うちの隊でも、私に直接来るんはうちの副隊長だけやさかい
少し、うれしいもんやね。さ、はじめよか」
そう言って月元隊長は構えた
ルイはニヤリと笑うと
両手をパンっと打ち合わせる
心臓の鼓動が大きくなり、髪が銀色へと変わる
「夜天外装」
ルイがそう言うと、闇を体に纏い始めた




