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13話 手掛かり

翌日、私は若菜さんに頭を下げた


「若菜さん、いろいろありがとうございました」


「またなんかあったら遠慮なく来てな

せやけど、体は大切にせいよ」



別れを告げ私は隊長室へと向かった

ドアをノックして中に入る


「隊長ご迷惑をおかけしました」


「おぉー、望月!聞いたぞ大変だったな」


尾藤隊長は私を見ると立ち上がり私の手を握った


「それにしても大活躍だったらしいじゃないか

良ければ君からも話を聞かせともらえるかい?」


そのまま促され私は席に座る


「お茶?それともコーヒー?」


「いえ!それなら私が!」


慌てて立とうとする私を隊長が止めた


「いいって病み上がりだろ?ゆっくりしてな」


「ありがとうございます

なら、お茶で」


「おっけー」


私に紙コップを差し出し隊長は私の向かいに座った


「それで、君が戦ったのはどんな奴だった?」


「男でした、飴を舐めてて、多分ギフト持ちです

ナイフが私に追尾するように飛んできました」


隊長は私の説明で少し考えこんだ


「そいつはもしかして【ノマド】かもしれない」


「ノマド、ですか?」


私の問いに隊長は頷く


「ああ、本名は分からんが指名手配犯の一人でね、奴は必中のギフトを持っている

ナイフが追尾してるように見えたのはそのせいだろう

奴が黒羽に入ったとなると厄介だな」


私の心臓が大きくはねた


「黒羽って、私の学校を襲った

あの、黒羽ですか?」


尾藤が頷いた


「実は名取が資料の一部を持ち帰ってくれて、

あの施設が黒羽と繋がりがあることが分かったんだ」


呼吸が浅くなるのが分かる

コップが目に入り、お茶を一気に飲み干す

少し落ち着き、ノマドという男が言っていたことを思い出した


「…隊長、二番隊の隊長ってどんな人ですか?」


「どうした突然

…いや待て、二番隊って言ったか?」


隊長が顔をしかめた

さっきまで真剣だった姿勢が崩れ

腕を組み、背もたれに体を預けた


「私、あいつ嫌いなんだよねぇ~

なんか名家出身だか何だけ知れないけど、気取っちゃってさぁ

こっちが息苦しいっての」


隊長は手を広げ、うげぇっとやって見せた


「隊長が他の隊長貶してんじゃねぇよ、隊員がビビるだろ」


ドアが開き、黒木副隊長が入ってきた


「だってー、嫌いなもんは嫌いなんだぁ!

でもなんで二番隊?」


そう言った隊長はハッとした顔で身を乗り出した


「もしかして異動の相談!?うちが嫌になったの!?

それで二番隊に話を!

いやだ!いやだ!!望月は私が見つけたんだ!

私が育てるんだー!」


暴れる隊長に副隊長が拳骨をぶつけた


「ちょっと落ち着け!望月なんにも言ってないだろうが!

すまんな、望月。見苦しいところを」


「い、いえ、大丈夫です

…びっくりしましたけど」


私は必死に笑顔を作ってそう答えた


「それで、本題はなんだったんだ?」


「そんなに大きなことではないですが

ノマド?が二番隊がどうとか言っていたのが少し気になって」


副隊長は少し考えて


「よし、なら今から会いに行くか」


そう言った


「い、今からですか!?」


「多分今ならいるだろうし、俺も望月も刀を使うだろ

二番隊の隊長、あいつも刀だからな

見れば望月も何か得られるものがあるかもしれんからな」


そう言って副隊長は笑った


「…ったくしょうがないな、私も付き合ってあげるよ」


そう言って隊長が立ち上がる


「お前連れてくわけないだろ」


副隊長がそう告げた


「ええ!?なんでだい!?」


「何でも何も、お前連れて行けば絶対喧嘩するだろ!

そんな奴連れってってもらえると思うなよ

それに、まだ頼んだ書類が残ってる様だが?」


副隊長がデスクを指さし言った

それを聞いた隊長は空気が抜けたようにソファーに沈む


「戻ってくるまでに片付いてなかったら、今夜の飲みは無しだからな」


「…あい」


隊長が覇気なくそう答えた


「さぁ、望月行こうか」


私は、この隊で一番怖いのはこの人かもしれないと密かにそう思った

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