10話 初任務
20:00になった
集合場所には装備を整えた四人が揃っている
「現場までは車で向かう。運転は俺がやろう」
名取さんが運転席のドアを開けた
「えー!私も運転したかった!」
「やめろよ、現場に着く前に殺す気か?」
二人は相変わらず睨み合っている
「うるさい!乗らないなら指定してやる!
矢守と望月さんは後ろ!宮村は助手席に乗れ!」
車に乗り込み、現場へと出発する
思えばここにきて初めての外出だ
私は久しぶりの外の景色をぼんやりと眺めていた
まるで流れ星のように景色は後ろに流れていく
ふと隣を見ると矢守さんがウキウキしながらリズムを刻んでいる
「…楽しそうですね」
「あ、わかっちゃった?
私、お仕事大好きなんだぁ
今日も、もうワクワクしてとまらないの!」
笑顔でそう答えた
「チッ、戦闘狂が…」
宮村さんがそうつぶやいた気がした
「望月さん現場に着く前に」
名取さんがミラー越しに私を見た
「ここまで来ていうものではないが
今回の任務、正直制圧というより殲滅です
誰一人逃がす事は許されない
貴方に、その覚悟はありますか?」
私は唾を呑み込んだ
じっとりと汗がにじむ
「…っはい!」
私は何かを振り払うようにそう言った
21:50
小さいビルの前で車は止まった
「ここだ、皆気を引き締めていけ」
それぞれ車を降り、装備を確認すると
ビルへと入った
「目的の場所は地下だ
場所は偵察組から聞いている」
名取さんはエレベーターに乗り込んだ
皆乗り込んだのを確認し、階層ボタンを複雑に押した
「宮村、ドアの前に立っておいてくれ」
エレベーターの表示がBXと変わり、下に向かて動き出した
時間は22:00
エレベーターのドアが開く
と同時に集中砲火が飛んできた
「やっぱり待ち伏せされていたか」
宮村さんは反射を使いながらエレベーターから降りた
「矢守、外すなよ」
「誰に言ってるのかなぁ?」
矢守さんは銃を抜いた
「みやむらー、もう二歩左ー」
それを聞いて宮村さんは少しずれた
矢守さんは宮村さんの背中に向かって立て続けに引き金を引いた
放たれた弾丸は宮村さんに当たり四方へ
そのすべてが軌道を変え相手の眉間へ正確に撃ち込まれていく
響いていた銃声は少しずつ少なくなり
完全に沈黙した
「なとりん索敵よろしくー」
「左から2-1-1」
これを聞いた矢守さんが4発撃った
「ゼロ」
それを聞き矢守さんと名取さんはエレベーターを降りた
釣られるように私もエレベーターを降りた
降りた瞬間、強烈な血のにおいと火薬のにおいがした
そして転がるさっきまで人だったもの
その一つと目が合った気がした
私は思い出した
人の儚さを、脆さを
あの日の記憶が鮮明に蘇る
私は拳をぎゅっと握りしめた
「残りも終わらせるぞ」
そう言って三人は歩き出した
私もそれに続いた
1部屋、2部屋と制圧を進めていく
警備服の人、白衣を着た人、普段着のような人
例外なく逃がしはしない
三人の連携は凄かった
私の出番が無いほどに素早く的確に確実に進んでいく
ある部屋に入る前
ドアを開けようとした矢守さんの手がピクリと止まった
「マリちゃんさー、
悪いんだけどエレベーター前まで後退して待機してほしいんだ」
矢守さんが言った
「なんでですか?私も同行します」
そういう私を名取さんも止めた
「確かに敵の増援が来るかもしれない
望月さん、君を信用して退路の確保を頼みたいんだ」
首の後ろが熱くなる
「…一人でですか?」
矢守さんは笑った
「大丈夫、マリちゃんならできるよ
だから私たちのためにお願い!」
そこまで言われたら断れない
「わかりました」
と、了承し三人と別れエレベーターへと向かった
三人と少しずつ距離ができるほど
私の鼓動は大きくなっていった
マリが去った後
三人は扉をゆっくりと開けた
部屋の中に人の姿は無く
あるのは内臓が抜き取られた骸のみだった
数は10体
服こそ脱がされているが
腹部以外はきれいで
それぞれベッドに一体ずつ寝かされ並んでいる
「これは、ひでぇな
まるで…」
宮村が言葉を飲み込んだ
「この人、行方不明の届けが出されていた」
名取が遺体の一つを見ながら言った
矢守は机の上に置かれていた資料を一つ手に取った
そこに書かれていたことは理解できなかったが一つだけ分かった
「この研究所、黒羽ってとこと繋がってるらしいよー」
名取に資料を手渡した
「黒羽、最近拡大している組織だね
まだ資料は少ないから、これは大きな情報になる
矢守、よくやった」
そう言って名取は資料を集めた
「さて、望月さんを心配させるわけにはいかない
それにこの先から強い気配を感じる
おそらくギフト持ちがいるだろう」
それを聞くと矢守の目の色が変わった
「…やっと見つけた
なとりん見つけるの遅すぎぃ」
宮村は拳を強く握っている
「さぁ、早く終わらせよう」
名取がそう言い
二人はうなずくと部屋を後にした




