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Episode:20 星屑の大迷宮

20話投稿。




やぁ、思いがけず【ドワーフ】を助ける事になった蝗の王(アバドーン)だ。



現在、【首長ドン・キホーテ】に案内されて、【星屑の大迷宮】に向かう為に、街の

下層に来ているんだ。


魔神ディーバ】と【グランディ王国】、どちらも片付けないと為らないが、王国軍の方は

出入口に堅固けんごな扉が有るので、簡単には入っては来れ無いだろうし、そこの

防備を固めて立て篭もり、立て篭もってる間の食料はポーチから出して提供すれば済む。


人手が足りないなら【テレポート】や【アポーツ】で眷属を召喚すれば良いしな。



逆に、【魔神ディーバ】の方は何時扉を破られるか予測不能だし、【ドワーフ】の拠点の

中の問題なので、まずは此方の方から片付ける事にした。


拠点が安全だって事は、それだけで精神的な余裕に繋がる訳だしね。






それで、この【石のみやこ】の構造を簡単に説明すると、大きく分けて、出入り口のある階層を【下層】、その上が【中層】、更に上が【上層】となっており、【下層】の下に【地階層】、そこから下に向けて【星屑の大迷宮】が、広がっている感じだ。


俺が今いるのは【地階層】で、目的の【魔神ディーバ】は【大迷宮】に入ってから、やや暫らく降りた場所にある”扉”で阻まれているそうだ。




今回、俺と一緒に来ているのは、案内役の【首長ドン・キホーテ】とドワーフの護衛

2人、それと好奇心から付いて来た【シロアリ(フェアリー)】達。


後は、【アポーツ】を使って俺らの拠点から召喚した、42号と51号の二人だ。


この二人は、戦闘要員としてでは無く、【ドワーフ】達と【シロアリ(フェアリー)】達の護衛として

呼んだ。



魔神ディーバ】の方は、俺一人で十分だしな。



本当は、俺一人で行けば護衛要員を呼ぶ事も無かったし、戦闘区域に護衛対象を連れて行くなど、本来はあっては為らないのだが、


『ワシには見届ける責任がある。たとえ死んでも恨みはしない。』


と言い張って、意思を曲げようとしなかったのだ。



【ドワーフ】族、マジ頑固ww



そして、【ドワーフ】達が行くならと【シロアリ(フェアリー)】達も付いて来たのだ。


まぁ、コイツらに関しては不思議な力を持ってるので、身を護る事に関しては心配()らんだろうから、護衛の必要は無さそうだったけどな。




そんな訳で、主に【ドワーフ】達の護衛の為に、2人の眷属を呼んだ訳なんだ。




一応、説明して置くけど、護衛対象より護衛の方が人数が少ないのは、自分達の能力を過信した訳でも、護衛するって事を簡単に考えてる訳でも無い。



一人の人間を護り切ろうと思ったら、護衛は二人以上が望ましい。


それ程までに、護衛と言うのは困難な事だ。


だけど、俺達には”結界魔法”がある。


俺達はこの魔法を極める為に、多くの情熱を傾けて来た。


その結果、俺達独自の”決戦空間”とでも言うべきフィールドを形成する事に成功したんだ。


この”決戦空間”が使えるからこそ、少ない人数での護衛に支障が無いのだ。



ちなみに、さっきから説明を続けながら歩いているけど、【脳内会議】の分割高速思考マルチタスクを使っているので、なんの問題も無い。




そして、ちょうど良いタイミングで【大迷宮】と【地階層】を隔てる”扉”に付いたようだ。




「でかい扉だな……。


それに、ひどく頑丈そうだ。


その【魔神ディーバ】ってのは、コレを突破するかも知れないって事だな。」




ほんの少し、躊躇うような素振りのあと、扉を開けようと手を伸ばした【キホーテ】を制して、




「念の為、扉の向こうに何かが潜んで無いか、確認する。


42号と51号は、万が一に備えて扉の廻りに結界を組め。


万が一ここを突破されて、上層の居住区に行かれでもしたら、甚大な被害が出るからな。」




俺は眷属と共に扉の向こうに意識を向け、何者かが潜んでないか確認した後、万が一にも此処を突破され無いように、扉を囲んで結界を組みあげた。





その後再び、【首長ドン・キホーテ】に先導されて、いよいよ【星屑の大迷宮】へと足を踏み入れたのだ。





【大迷宮】の中は、今までの階層のように磨かれた壁面では無く、坑道独特の、土や岩が剥き出しのままの状態であり、細かい鉱石の粒が壁面に露出し、それが発光性のコケ類が放つ僅かな光を反射して、キラキラと瞬く様に光っていた、まるで夜空に輝く星屑のように。




「これは、聞きしに勝る凄い光景だな。

まさしく、地下世界に突如広がった星空のようだ…。」




『そうだろうとも、この場所こそが我等【石のみやこのドワーフ】達にとっての、”魂の拠り所”とも言うべき場所なのだからのぅ。


お主が来てくれなんだら、此処を捨てねば為らなかった…。


改めて礼を言わせてくれ。』




「まだ、何も解決した訳じゃ無い。


礼なら、全てが片付いて、心の底から皆が笑えるようになってから、改めて言ってくれ。」(キリッ)



(王様の凛々しさに全俺が泣いたw)


(マトモな事を言ってる…だと?)


(…ナゼ普段から、こうでは無いのか…)











・・








・・・・・・









・・・・・・・・・・












そして、俺達は明かりの無い坑道を下へと降って、歩き続けている。


このメンバーは全員、暗視能力があるので、明かりを必要としないし。


それにしても エライ入り組んでいて、目印を見落とせば迷うってのも 確かにうなずけるわw











……いったい、どれだけの時間、歩き続けたのだろう?



正確な体内時計を持ってるハズの俺でさえ、ともすれば時間の流れが曖昧になるような闇の中を、黙々と歩き続け、ようやく【魔神ディーバ】を閉じ込めた下層の扉に、辿り着いた。




『……着いたぞ、此処がその扉だ。』




【ドワーフ】達の顔色が悪い。


この頑健で知られる種族が、揃って疲れてる筈も無いから、忌まわしい敗走の記憶を思い出しているのだろう。





「やっと着いたか、長い行程だったな。


まさに【大迷宮】の名に相応しい規模だったな。」




『ホントは、単なる坑道なんだけどね~w』





「それじゃあ、さっきと同じ様に俺は扉の向こうの気配を探るから、

42号と51号は結界の準備。」



<< 了解! >>













「……よし、開けるぞ。


皆は一箇所に固まりながら、進んでくれ。


42号と51号は、何時でも結界を張れるように、準備しながら護衛。」




扉を潜った瞬間から、まるでこちら側は別の空間だとでも言うように、空気の

質が重く纏わり着く感じに変化し、息苦しさを覚えるようになったので、全員、

声を出さずに頷くことで、了解の意思を伝えて来た。




そのまま、ややしばらく進んで行くと、結構な広さの空間に出た。




「見たところ、あまり手を加えた様子が無いな。


元々あった空洞に、坑道が繋がったので階段を造り、ゆかたいらに削ったって感じか?」




『ああ、その通りだ。 お主等も大地の中の事象に詳しいのか?』




「俺らの種族は、スキル【地中生活のススメ】を持ってるからな。」




『おお、お主等もか! 飛蝗バッタだと聞いていたが、”ケラ”だったのか?』




「”ケラ”ちゃうわ!! あと、やっぱり【ドワーフ】も持ってるんだな。


まぁ、当たり前っちゃ、当たり前か。」




『うむ、なにや「まて!」…え?』



と、そのとき突然。













≪ ヴオオォォォォオオオオオオオオオォォォ!!!!! ≫












坑道全体を震わす雄叫び(ウォークライ)が響き渡り、この”広場”のちょうど反対側にある通路の闇から、瘴気を纏って【魔神ディーバ】が現れた。




『『『『『『 !…………。 』』』』』』




その身に纏う禍々しさ、瘴気、向けられる強烈な殺意の波動に、


俺は、ある程度全力を出さなければ為らないと判断して、


うしろで【ドワーフ】達と【シロアリ(フェアリー)】達が息を呑む声が聞こえると同時に、眷属に向かって指示を出した。




「このまま全力で戦えば、坑道が崩落する! ”飛蝗時空バッタじくう”に引きずり込め!!」



<< 了解! >>




それと、同時に眷属達を中心にして、僅かに瘴気が漂っていた坑道内の空気

が、清浄なモノへと塗り替えながら、【魔神ディーバ】の居る場所を瞬時に呑み込んだと

思った瞬間。


魔神ディーバ】を含む、俺達全員がいままで居た坑道とは、全く別の空間に居た。







俺達が、多くの情熱を傾けて極めた”結界魔法”の行き着く果て。


周りに、一切の被害を与えない為に形成・隔離された、物質と非物質の狭間の場所。


”決戦空間”とでも言うべきフィールド。


通称、”飛蝗時空バッタじくう”だ。



…なにやら、昔の特撮ヒーローモノで、悪役が使ってたような名前だが、

気の所為だww





まぁ、ぶっちゃけると俺らの力は強すぎて、ちょっと加減を間違えただけで、


”環境破壊って生易しいレベルじゃねーぞ!!!?”


ってな事になっちゃう訳よ。



世界のバランスを守護する俺らが、自然環境を破壊しまくるのはNGだし、

手加減して戦ったとしても、ちょっと加減を間違えただけで、大惨事になる。


それを解決する為の方法として、俺達は”結界魔法”に光明を見出みいだした。


あとは、アホほど訓練を繰り返していたら、 何時の間にか”結界”で隔絶された内部は、




赤茶けた大地が続く荒野に、土山が所々に点在し、岩場にはかなりの大きさの水場と、砂地では天然ガスに引火した炎が吹き上げ、吹き上げられた炎によって、上空には常に乱気流が渦巻いている。


この中では”四大元素”が容易たやすく用意されるのだ、しかも無制限に。


更に見上げれば、満天の星空に俺らの顔(・・・・)を模した(・・・・)巨大な月が浮かぶ、夕焼けの世界(ストレンジ・ワールド)














…………………これ何てシュール空間?に進化していたwww














◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇














『『 こ、これは、いったい…? 』』



『『『『『 ちょっwww なんぞこの空間www 』』』』』




「モチつけ、お前らw


奴はかなり、手強そうだったんでな、あのまま坑道内で俺と奴が、ぶつかり合えば確実に崩落が起きると判断して、俺達【軍団レギオン】の決戦フィールド。


通称、”飛蝗時空バッタじくう”に、奴ごと引き込んだんだよ。」



『へぇ~、結界魔法の究極の形だね~。


初めて見たよ~、内部は造ったヒトの影響を受けるんだね~ww』




「そう言う事、もう少ししたら奴が落ちて来るから、この”観戦所”から出ない

ようにな。」













≪ ヴオオォォォォオオオオオオオオオォォォ!!!!! ≫












「…お、来たな。それじゃあ、逝ってくるわ。」



『字が違うだろ…。』





「とぅ!」



ザシャ!




≪ !!!! ≫





目の前に現れた俺に気づき、奴は警戒しながら様子をうかがっている。


どうやら、奴にとって居心地の悪い清浄な空間の中では、勝手が違うのだろう。



だが俺には、それを考慮してやる義理は無い。



ドゴン!!




足場の地面が砕ける程の踏み込みで、瞬時に奴の懐に入り込み、渾身のフックをわき腹に叩き込む。





ゴッギィィィイイィィィン!!!





とても、生身同士がぶつかったとは思えない様な音を響かせながら、吹き飛んで、岩にめり込む【魔神ディーバ】。


そのわき腹には大きなひびが入っていたが、追撃をかけて放った蹴りを俊敏な動作で避けたかと思えば、瘴気に包まれ瞬く間に再生してしまった。


だが、この空間内では、闇の瘴気は補充出来ない。


力を消費して傷を治し、周りからは補充が利かない上に、この中では徐々に消耗して往くしか無いのだ。


長引くかも知れんが、勝利は揺るがない。


そもそも、”勝負”では無く”処刑”なのだ。


自分の為すべき事を再確認し、俺は果敢に攻勢を掛けてゆく。



接近戦で敵を翻弄しながら、分割高速思考マルチタスクで意識を分けて魔法を準備する。


秒間、数十発の拳の弾幕を打ち出して、【魔神ディーバ】の身体を力づくで破壊し、更に収束させた無数のラメェ(炎系下級呪文)が、全方位から降り注ぎ、身体を抉り取って往く。


苦悶に啼き声をあげ、牽制の為に吐き出された奴の炎にえて突っ込み、【レジスト】で強引に炎を無効化して、口腔に手を突っ込み、内部で(・・・)チャプイッテェー(氷系最上級極大呪文)を開放する。


間髪入れずに、【超加速】を発動して安全圏まで飛びのき、通常時間軸に戻った瞬間。






夕焼けの世界(ストレンジ・ワールド)に、巨大な氷の華が咲いた。




その氷華が徐々に砕け散って光の粒子へと変わって消え去った後には、もはや無限の再生能力を失った【魔神ディーバ】が、満身創痍のぼろぼろな状態になって、辛うじて立っていた。







バコン!!



音と共に、”第2の口”が左右に開き、夕焼けの世界(ストレンジ・ワールド)存在る”四大元素”を吸い込んで往く。






轟!!!!!!!





炎は赤い光の粒子となり、土の山は黄色い光の粒子に変わりながら、水の粒は青い光の粒子に、最後の風は白い光の粒子となって、四色の光は渦を巻いて、”第2の口”に吸い込まれて往った。


全ての光を吸い込んで、”第2の口”が閉じられ【アバドーン】の全身が、まばゆい紫色の光に包まれる。





「これで終わりだ。」




そう宣言すると同時に踏み込み、拳を打ち込んだ。


打ち込んだ部分で光が弾け、徐々に奔流となって夕焼けの世界(ストレンジ・ワールド)全体を光が染め上げる。









・・・・・・・・・・








・・・・・・









・・











あまりの眩しさに目を開けて居られなくなった、【ドワーフ】達と【シロアリ(フェアリー)】達が、我に返ると、何時の間にか光は収まっており、彼らは、元通り【星屑の大迷宮】の坑道にある広間に立ち尽くしているのだった。


あの不思議な空間を連想させるモノは、何も見当たらず、


『あの不思議な場所と出来事は、本当にあった出来事なのか? あるいは、自分達は白昼夢でも見たのではないか?』


そんな風に思い 廻りを見回していると、先ほどと変わらぬ位置に立って落ち着いている蝗の王(アバドーン)が、こちらに向かって話しかけた。




「これで、【魔神ディーバ】の方は片が付いた。


あと残るは、”人間ヒューマン”共の始末だな。



とは言え、少しくらいの余裕は有るだろう、まずは腹ごしらえだ。


首長ドン・キホーテ】、あんたらドワーフに今まで喰った事も無い、美味いモノを

ご馳走してやるよ。



さぁ、上に戻ろうぜ!」
















…こうして 俺は【魔神ディーバ】を倒し、今度は”人間ヒューマン”に対処する為、上に向かって歩き出したんだ。










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