いざ街へ、ぶらりと観光というわけにはいかないけれど
「さて、まずは何をすれば」
仲間は得たが、それ以外はまだ何もない。それゆえに次の行動を決められずにいた
「あの、発言してもよろしいでしょうか?」
悩む僕を見てヴァルフさんが声をかけた。
「ああ、いいよ」
「ひとまずは、物資の調達のために街へ向かうのはいかがでしょうか?」
「そうだね、でも何が必要なんだろう」
「ご主人様の変えの衣服、食料などが第一に考えられます。そして次により多くの奴隷を運ぶための馬車があれば商売もはかどると思われます」
「そっか」
そこまで話を聞いて僕はどうして、彼女がここまで協力的なのか、そこだけが少し疑問だったが、ひとまずは気にしないことにした
「それじゃあ、ヴァルフさんの言ったとおりに街で買い物をしようか」
「「「はい」」」
三人を引き連れて、町に向かって歩き出した。入り口の前で検問所があったが、奴隷商人の宝石を見るや否や、そのまま通してくれた。
そうして入った町はまさに僕が本の中で知っている異世界そのものだった。僕はこの世界の来て初めての興奮を覚え、ついあたりを見渡していた。だがそんな僕とは対照的に、獣人の三人はひどく居心地の悪そうな様子だった。
「お姉ちゃん、怖い」
「大丈夫よ、二人ともご主人様のそばを離れないで」
「うん」
その時になってようやく気が付いたのだが、僕のうしろを歩く三人に向けて周りの人からとても冷たい視線が浴びせられていた。それはまるで汚物を見るかのような、そんなものだった。そして僕はそれを向けられたものがどんな思いをするかを知っていた。
「まずは、皆さんの服を買いましょう」
「そんな、ご主人様そのようなことに貴重なお金を使っては」
「いいんです。それにこれは僕のためでもあるんです」
「・・・」
ヴァルフさんは僕の言葉を聞いて、少し考え込んだのち、後ろを振り返り、子供たちを見つめて
「では、我々の耳が隠れるようなものが、よいと考えます。我々奴隷は存在しているだけで人々の嫌悪の視線を集めてしまいますから」
「わかりました、ではローブのようなものを探してみましょう」
とりあえずは近場の店の中で最も安いローブを大小合わせて三人分購入した
「本当にこれでよかったのですか? もう少し高いものでもよかったのに」
「いえ、あまり高いものを身に着けては、逆に注目を集めてしまいます。それにこれでも十分雨風をしのぎ、身体を暖めてくれます」
「そう、ならいいですけど」
実際のところ周りの人からの浴びせられる視線の数は少なくなっていた。そのおかげでかなり歩きやすくなった。だが一つ問題を解決すればまた次の問題が起こるようで、僕の背後から腹の鳴る音がした。
「クイネ・・・」
「ごめんなさいなのです」
「・・・コチカも~」
「二人とも・・・でも今日はまだお仕事をしていません」
「お仕事?」
「奴隷は本来労働の対価として、ご主人様からその日の食事をいただくのが、当たり前なのです」
だが労働と言っても今この三人にやってもらいたいことなど、なにもない。
「・・・仕方ないかくなる上は」
「何か言いました?」
「いえ、それよりも僭越ながらご主人様にお願いがあります」
「なんでしょうか」
「二人に食事を与えていただけないでしょうか。代価は私が支払います」
「それは構いませんよ。ちょうど僕もおなかが空いていたので」
「ありがとうございます。二人ともご主人様にお礼を言って」
「ありがとうございます。なのです」
「ありがと~」
「それじゃあ、二人は何が食べたいんだい」
「「お肉」」
「お肉か」
あたりを見渡してみると、いろいろな屋台がある中、串焼きのお店があったので、とりあえず人数×2本用意してもらい、それを袋にまとめてもらった。




