ツレヒトの功績
「ここへはどの様にして参られたのですか?」
「えっと、目隠しして馬車で」
「申し訳ございません。説明不足でございましたね。この街にお越しになることができるのはどなたも特別な出自、あるいはこの街でただいなる功績を上げられた方となっております。貴方様はいったいどちらに該当するのでしょうか?」
「それで言うと、僕は後者でしょう。僕の従者に優秀な医者がいまして、彼女が作った薬で多くの方が助かったと会長から聞いています。それと大イノシシの討伐の功績を経てここに案内されました」
「なるほど、大イノシシの件は私も聞き及んでおりますが、まさか張本人とお会いすることができるとは、やはりこの仕事は面白いものです」
「それで、僕の質問には答えていただけそうですか」
「ええ、もちろんです。大イノシシの一件だけでもこの街でも多くの者が救われています。功績としては十分でございます。しかしながら現在白狼族の奴隷はご案内出来ない状況にございます」
「それは一体」
「大変面倒なことなのですが、病気になってしまい。現在はお客様への感染を考慮し表に出すことは控えております」
「・・・生きてはいるんですよね」
「ええ、一応・・・ですがいつまたお客さも相手ができるようになるかはわかりません。やつの処遇に関しては上の物が検討に検討を重ねておりますが、どうなるかは我々には直前になるまで知らされることはないでしょう。それにここの情報は決して表には出回りませんので、お客様が訪れたタイミングでご用意ができるかどうか」
いろいろと事情はあるとはいえ、少なくともここにリースの母親と思われる人物がいる。それが分かっただけでも大きい。そして彼女が病気ということは、僕はある一つのアイデアが思い浮かんだ。しかしそれを実行するには僕一人では絶対に不可能だ。だが僕の仲間には最適な人物がいる。
「ありがとうございました。また来ます」
「他の者ならすぐにご用意できますが、よろしいのでしょうか?」
「はい、少し用事ができたので」
僕は来た時よりも良い気分で店を後にした。




