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テラ  作者: 浜北の「ひかり」
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29/47

Air:29 契約

 彼は僕の後ろに回った。

「契約として、君は僕を操る権利を得たいと思っている。」

「・・・。」

「はい。それともいいえ。いいえと言った瞬間に僕は君の心の中から消える。そうなれば、君はお父さんを救う手だてを失うことになる。」

「・・・はい。」

「・・・2つ目。僕は君に力を貸す代わりに、君のこれから生きるかもしれない10年分の人生をもらうよ。つまり、君の寿命は10年縮むってことだ。いいかい。」

「・・・分かった。」

「さすがだねぇ。現実逃避ってとういうことから始まるのかなぁ・・・。」

こいつなんでも知っていやがる。僕のことなら何を聞いてもこいつは答えるだろう。

「じゃあ、最後。これがフォノアにとっては重要でね・・・。心の闇を増幅させることがあれば、僕は君の心の中から消える。だけど、君の心の中にはその瞬間からまたアビリティーオリジナルを住まわせることになる。それはダークオリジナル。ダークオリジナルは人の心の闇に付け込むのが好きでねぇ・・・。一度でも付け込まれたら、君は犯罪者になるかもしれないよ。それでもいいかい。」

「・・・。」

どう考えたって「はい」しか回答がないように見えた。犯罪者になるかもしれないというのは嫌だが、代償がそれだけで済むのなら・・・。それでお父さんを救うことができるのなら、問題はないだろう。

「うん。」

「OK。契約成立だ。それと言って無かったけど、僕を操るためには君の強い意志が必要なんだ。僕の力を使いたければ、どれだけ君が強い意志で僕を操るかにかかってるからね。それだけでも僕の引き出せる力の量が変わるよ。ハハハハハハハハ。」

彼はそういうと僕の前から消えた。

 目が覚めると朝になっていた。体を起こすと夢のことを思い出した。

「ねぇ、いるのもう一人の自分。」

呼んでみた。

「いるよ。」

するとそう言って彼が姿を現した。

「でも、なんでもない時に僕を呼びだすなんてねぇ・・・。」

「・・・いけないの。」

「別に。いけないなんてことはないさ。ただ、暴れられないのが残念なだけさ。それで何。」

「ねぇ、僕は君を強い意志で操ればいいんだよねぇ。」

「そうだよ。」

「じゃあ、僕が強ければ何でもできるわけだよねぇ。」

「もちろん。でも、それは僕ができることに限られるけどねぇ。」

僕は何も言わなかった。しかし、彼は何か察したようで、

「分かったよ。君が僕のことを理解しようとしてるんだね。僕はいつも心の中にいるから、聞きたいことがあったら、何でも聞けばいい。」

と言って彼は僕の前から姿を消した。

(フッ。恐らく彼は僕を消滅させることがないだろう・・・。これは言う義務もないから言わなかったけど、僕の消滅は体に相当に負担になる。あのリアルゲートを通らない限りね・・・。)


次回は11月7日です。

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