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(元)魔道王の転生物語 ~来世では絶対『幸せ』になる!~  作者: えみお


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魔導王…化け物と相対す。

「でけぇな」


 今から対峙することになる化け物の正面に立った俺がありきたりな感想を呟くと・・・後方から続々と現れた者達もまた、同様の意味合いの言葉を発した。


「「「ウオーテマ!ウオーテマ!」」」


(「ったく。ついてくんなって言ってんのに・・・」)


 再三にわたる俺の忠告を聞き流し、林の奥から意気揚々と現れた男達。


 彼等に共通する特徴・・・ソレは茶褐色の肌に禿頭、身体中に刻まれた白い入れ墨、そして葉っぱ等で作られたなんとも危うい腰巻きだ。


 そして持参する武器はといえば・・・槍や棍棒ときている。


 俺は、ダメ元でもう一度、彼等の武器を『鑑定』する。


「『鑑定(ジャッジ)』!」


(「・・・はぁ。まぁ何度やっても変わらんよな」)


 結果は先程と同じ・・・何の変哲も無い打撃、及び刺突武器。


 それ以上の性能は一切持ち合わせておらず、当然魔術的な効果が付与されていることもない。


 つまりは、加工した木の棒以上の何物でも無いということだ。


(「コイツら、視力は人一倍良いんじゃねえのかよ。目の前のアレが見えねえのか!?」)


 そんなゴミが役に立つような相手じゃないことくらい、ひと目見て理解できるだろう?


 しかし、俺の願いもむなしく、敵の全身を視界に収めた彼等の士気は、下がるどころか更に高まってしまったようだ・・・。


「エムラー・・・イラ!イラ!イラ!」


「「「イラ!イラ!イラ!」」」


 俺の真後ろ・・・即ち彼等の先頭を務めていた、一際派手な入れ墨の大男のかけ声・・・。


 それに追従し、他の者達も声を上げる。


 俺は彼等の言語が理解できない。


 しかし、それら一連の行為が、これから始まる戦いに備えた、士気高揚の儀式であることは容易に想像がついた。


(「だけど・・・だけどなぁ・・・!」)


 だからといってその慣習を受け入れられるか・・・ましてや、大の男達の大合唱をこんな間近で聞かされて「うおーっ、俺も力がみなぎってきたぞー!」となれるかどうかは、完全に別の話である。


「(うるせーよ!ちょっとは集中させろ!何が「イライライラ」だ!?俺をイライラさせてえの!?ならよかったな!ちゃんと成功してるぞ!だからもう止めてくれぇ!!!」)


 一瞬、自身の周囲に防音結界を展開しようかとも思ったが、危機管理の面から、流石にしてはいけないと考えを改める。


 眼前の敵は、俺の実力をもってしても、油断すればヤられる。


 そんな相手に聴覚を遮断するというハンデを背負って戦うわけにはいかないのだ。


(「で、でも、このままじゃ俺の気力的なものが、先に消失してしまいそうだ!」)


「イラ、イラ、イラ!」


「「「イラ、イラ、イラ!!!」」」


(「イライライラ!!!」)


 おおよそ1分少々、敵を目前にして行う行為では断じて無いであろう儀式をようやく終えた男達。


 すると、その中の1人・・・彼等の先頭を任されていた大男が俺の横に並び、そして話しかけてくる。


「オレタチ、タタカイ、ハイッタ、カンシャ」


 どうやら片言の公用語で、彼は俺に謝意を示したいようである。


(「えーっと名前は確か・・・アデクだったか?」)


 俺は、ここに来る前に訪れた彼等の居住区での会話から彼の名を思い出すと、魔法『精神感応(テレパシー)』を用いて自らの意思を再度伝えた。


ーーー今ならまだ間に合うかもしれない。お前らは速く逃げろ!!!ーーー


 すると、再三・・・いや再四の忠告もむなしくアデクは首を横に振ると、俺の『精神感応』を通じて自らの覚悟を伝えてきた。


ーーーレドヴァン殿、度重なる忠告感謝いたします。ですが、我らが生きるこの地・・・『ザイの森』があんな化け物に土足で踏みにじられるのを、黙って見過ごすなんてことは出来ません。それは貴下、ザイの戦士の誇りであり、総意であります。ーーー


(「眠てえこと言ってんじゃねえよ・・・!」)


 そんな自身の本音を打つけて、彼等のプライドをへし折れるなら、今すぐにでも行いたい。

 だが、この手の輩に何を言おうが馬耳東風とばかりに聞き流されることは、自身が今まで積み重ねてきた幾多もの戦闘経験が暗示している。


ーーーそうか。なら、最後まで生き残れよーーー


 後に自らに生じるであろう良心の呵責・・・それを少しでも和らげるために、俺は最後の通告を行う。


ーーー勿論。戦って、勝ち、生きて還りたい。その願いは貴方と同じです。ーーー


 アデクのその言葉を最後に『精神感応』の魔法を切った俺は、彼の横顔を見ながらこう思った。


(「そうだな。だけど、お前らにその望みは贅沢すぎる)」


 彼等は弱い・・・どうしようも無いほどに・・・。


 ならば、ソレを理解した上で、矜持など投げ捨て、ただ『生きる』ことのみを目標とすべきだ。


 身の丈を越えた高望み・・・それが如何ほどの代償を強いることになるか、俺は知っている。

 だから忠告はした。何度もした。


 そして、その上で彼等『ザイの戦士』とやらは、臆病な賢者であることより勇敢な愚者であることを選んだのだ。


(「なら・・・後は知ったこっちゃ無い」)


 俺はそうハッキリと割り切ると、視線を化け物に戻す。


 すると・・・そのタイミングを見計らっていたかのように怪物『巨人』は移動を止めた。


(「彼我の距離・・・おおよそ500メルってところか・・・」)


 そのあまりの大きさと、その背後に広がる海の広大さ故に、正確な距離感を掴めているかは自信が無いが・・・。 


「・・・ウボォォォォッ」


 重く、低く・・・何処か可愛らしさすら覚えるような声で1鳴きした化け物。


「くるぞ」


 俺は警告ともつかない声を発する。


「エル、シアリー!!!」


「「「オーッ!!!」」」


 それに応じるかのような戦士達の叫声。


 そして・・・『巨人』が俺達に向けて放った最初の攻撃。


 




 ブンッ






 見えぬ刃が音より速く駆け抜ける。






 そして・・・一瞬の後、鮮血の雨が降り注いだ。






「・・・・・・・・・だから言ったのによ」






 戦闘開始直後・・・『ザイの戦士』達は全滅した。






 上半身と下半身を綺麗に分けられたであろう、男達の亡骸。


 それに一切視線を向けることもなく、俺は自身の仕事を開始した。






「行くぞ・・・化け物!!!」

 ここまで読んでいただきありがとうございます!

 これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!

 また、感想・レビュー・ブクマ・評価・コメントなどもらえると、作者は本当に喜びます!(ガチ!!!)

 ぜひ…清き一票を!!!

 

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