# 第七話 **「勝利の代償」**
# 第七話 **「勝利の代償」**
谷に響く剣戟。
土煙の中、レオンとバルガスが激しくぶつかり合う。
ガキィィン!
火花が散る。
「小僧!」
バルガスの戦斧が振り下ろされる。
レオンは受け止めるが、あまりの重さに膝をついた。
「ぐっ……!」
「隊長!」
兵士たちが叫ぶ。
「来るな!」
レオンは叫び返した。
「これは俺の戦いだ!」
バルガスは笑う。
「いい覚悟だ。」
「だが、お前はまだ甘い!」
戦斧が再び振り下ろされる。
その瞬間――。
**キィィン!**
一本の矢が飛び、バルガスの兜を弾き飛ばした。
「何っ!?」
崖の上ではセリアが弓を構えていた。
「レオン隊長!」
「今です!」
レオンは一瞬で立ち上がる。
「ありがとう!」
渾身の力で剣を振り抜いた。
「うおおおおおっ!!」
ガァァン!
バルガスの戦斧が地面へ落ちる。
「ば、馬鹿な……。」
「勝負あり。」
レオンの剣先が、バルガスの喉元で止まった。
「命までは奪わない。」
「……なぜだ?」
レオンは静かに答えた。
「俺は、人を殺すために剣を握ったんじゃない。」
「守るためだ。」
バルガスはしばらく黙っていたが、やがて大声で笑った。
「はははは!」
「こんな若造に負けるとはな!」
彼は剣を捨てた。
「全軍、退却!」
敵軍は総崩れとなり、谷から退いていった。
こうして――
**八〇〇人は、一万人を退けた。**
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勝利の歓声が響く。
「勝った!」
「やったぞ!」
「隊長ー!」
兵士たちは抱き合い、涙を流した。
しかし、その時だった。
「……隊長。」
かすれた声が聞こえた。
振り返ると、若い兵士のトーマが胸を押さえて倒れていた。
「トーマ!」
レオンは駆け寄る。
胸には敵の槍が深く刺さっていた。
「しっかりしろ!」
トーマは苦しそうに笑う。
「隊長……。」
「俺……。」
「ちゃんと……守れましたか?」
レオンの目から涙がこぼれる。
「ああ。」
「お前は最後まで戦った。」
「みんなを守った。」
トーマは安心したように微笑んだ。
「よかった……。」
「俺……。」
「この部隊で……。」
「幸せ……でした……。」
その手から力が抜けた。
静寂が谷を包む。
兵士たちは誰も声を出せなかった。
レオンはトーマの亡骸を抱きしめたまま、涙を流した。
「ごめん……。」
「俺がもっと強ければ……。」
するとガイルが静かに肩へ手を置く。
「隊長。」
「誰も、お前を責めちゃいない。」
セリアも涙を浮かべながら言う。
「彼は、あなたを信じて戦いました。」
「だから、前を向いてください。」
レオンは空を見上げた。
青い空がどこまでも広がっている。
「トーマ。」
「約束する。」
「お前が命を懸けて守ったこの国を……。」
「必ず平和な国にする。」
兵士たちは剣を胸の前に掲げた。
「俺たちも誓う!」
「二度と無駄な戦争はさせない!」
「希望の八〇〇人は、これからも進む!」
その誓いは、谷を越え、空へと響いていった。
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数日後。
王都では、驚きの知らせが広がっていた。
「八〇〇人が、一万人に勝ったらしい!」
「そんな馬鹿な!」
「本当なのか?」
酒場でも、市場でも、人々はその話題でもちきりだった。
そして王城では、一人の王が静かに報告書を閉じる。
「レオン・クロード……。」
王は穏やかに微笑んだ。
「ぜひ会ってみたい青年だ。」
その一方で、王国の闇に潜む者たちも動き始めていた。
「この男は危険だ。」
「民の人気が高くなりすぎる前に消せ。」
新たな陰謀が、静かに幕を開けようとしていた。
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## 次回予告
**第八話「王都からの招待」**
王から直々の招待状が届く。
初めて訪れる王城。
そこで待っていたのは栄誉だけではなかった。
レオンの活躍を妬む貴族たちが、彼に罠を仕掛ける――。




