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# 第六話 **「八〇〇人の奇跡」**

# 第六話 **「八〇〇人の奇跡」**


夜明け。


深い霧が谷を包んでいた。


レオンは崖の上から敵軍を見下ろす。


黒い鎧がどこまでも続いている。


「本当に……一万人か。」


セリアが隣に立つ。


「怖くなりましたか?」


レオンは少し笑った。


「もちろん。」


「でも、逃げるつもりはない。」


セリアも笑みを浮かべた。


「その答えなら安心しました。」


彼女は地図を閉じる。


「作戦を開始します。」


---


狭い谷道。


敵軍は長い列になって進軍していた。


先頭が谷へ入り、最後尾はまだ何キロも後ろにいる。


バルガスは馬上で笑う。


「敵はどこだ?」


その時だった。


ヒュンッ!


一本の矢が目の前へ突き刺さる。


「敵襲!」


「前方に敵!」


谷の上に、八〇〇人の兵士たちが姿を現した。


レオンは剣を高く掲げる。


「第一作戦!」


「開始!」


その瞬間――。


ゴロゴロゴロゴロ!!


巨大な岩が山肌から転がり落ちた。


「なっ!?」


敵軍は大混乱に陥る。


前へも後ろへも進めない。


「第二作戦!」


セリアが旗を振る。


森に隠れていた兵士たちが、一斉に矢を放つ。


「放てぇ!」


無数の矢が雨のように降り注ぐ。


敵軍は盾を構えるが、狭い谷では身動きが取れない。


「くそっ!」


「隊列を整えろ!」


しかし、その声は混乱にかき消された。


---


「今だ!」


レオンは叫ぶ。


「ガイル!」


「任せろ!」


ガイル率いる百人が谷へ突撃する。


「おおおおおっ!」


敵は狭い道に押し込められ、大軍であることが逆に足かせとなっていた。


「押し返せ!」


「無理だ!」


「後ろがつかえて動けん!」


八〇〇人は、完璧に敵の動きを封じていた。


---


一方、バルガスは怒りで顔を真っ赤にしていた。


「小細工ばかりしおって!」


彼は巨大な戦斧を振り上げる。


「私が出る!」


兵士たちが道を開ける。


バルガスは馬を飛ばし、一直線にレオンへ向かった。


「隊長!」


兵士たちが叫ぶ。


レオンは一歩も引かなかった。


「来い。」


ドォン!!


剣と戦斧が激しくぶつかる。


圧倒的な力。


レオンは吹き飛ばされ、地面を転がった。


「隊長!」


ガイルが駆け寄ろうとする。


しかしレオンは立ち上がった。


口元から血が流れている。


「まだだ。」


「俺は倒れない。」


バルガスは笑う。


「小僧!」


「貴様一人で世界を変えられると思うな!」


レオンは静かに首を振った。


「違う。」


そして後ろを振り返る。


そこには八〇〇人の仲間たちが立っていた。


元盗賊。


老人。


酒好き。


臆病者。


昨日まで笑われていた兵士たち。


その全員が武器を握り、レオンの背中を守っている。


「世界を変えるのは――」


レオンは力強く叫んだ。


「俺一人じゃない!」


「みんなだ!」


「隊長ォォォ!!」


兵士たちの雄叫びが谷に響く。


その声を聞いた町の人々も、城壁の上から叫んだ。


「負けるな!」


「レオン隊!」


「希望の八〇〇人!」


その声援に、兵士たちの士気は最高潮に達した。


セリアは微笑む。


「勝てます。」


ガイルは大剣を構えた。


「隊長。」


「最後まで付き合うぜ。」


レオンは剣を握り直す。


「みんな。」


「この戦いに勝って、明日も笑おう!」


「おおおおおおおっ!!」


八〇〇人の咆哮が、谷全体を震わせた。


その瞬間――。


歴史に残る大逆転劇の幕が上がった。


---


## 次回予告


**第七話「勝利の代償」**


ついにバルガスとの決着!


しかし、勝利の裏で一人の兵士が命の危機に…。


レオンは「仲間を一人も見捨てない」という誓いを守ることができるのか?


涙と感動の戦い、その結末が明らかになる。



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