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# 第十一話 **「王都の暗殺者」**

# 第十一話 **「王都の暗殺者」**


黒狼の砦を解放してから三日後。


レオンたちは王都へ帰還した。


城門の前には、大勢の民が集まっている。


「帰ってきたぞ!」


「希望の八〇〇人だ!」


「レオン隊長、ばんざーい!」


子どもたちが花を投げ、兵士たちは照れくさそうに笑った。


「隊長!」


「俺たち、英雄ですよ!」


ガイルは胸を張る。


「俺の銅像も建つかな。」


セリアは呆れたようにため息をつく。


「建つなら、お酒を持っている銅像ですね。」


兵士たちは大笑いした。


レオンも思わず吹き出す。


「それはガイルらしいな。」


笑顔に包まれた凱旋。


しかし、その人混みの中に、一人だけ笑っていない男がいた。


黒いローブ。


顔を隠す仮面。


腰には細い短剣が二本。


王国最強の暗殺者――**ナハト**。


「標的を確認。」


彼の視線は、まっすぐレオンへ向けられていた。


---


その夜。


王城では盛大な祝宴が開かれていた。


長いテーブルには豪華な料理が並び、貴族も兵士も杯を交わしている。


「レオン。」


国王アレクシスが立ち上がる。


「そなたと八〇〇人の功績を称え、今日から『王国守護軍』の称号を授ける。」


会場は大きな拍手に包まれた。


レオンは深く頭を下げる。


「ありがとうございます。」


「ですが、この栄誉は私一人のものではありません。」


そう言って後ろを振り返る。


八〇〇人の兵士たち。


セリア。


ガイル。


全員が誇らしそうに立っていた。


「この仲間たち全員のものです。」


兵士たちは目を潤ませた。


「隊長……。」


王も静かに頷いた。


「やはり、そなたは良い隊長だ。」


---


祝宴が終わり、レオンは一人で庭園を歩いていた。


夜風が心地よい。


「少し静かだな。」


その瞬間。


**シュッ!**


一本の短剣が飛んできた。


キィン!


レオンは間一髪で剣を抜き、弾き返す。


「誰だ!」


闇の中から声が響く。


「さすが英雄。」


「簡単には死なないか。」


黒い影が月明かりの中へ姿を現す。


ナハトだった。


「お前が暗殺者か。」


「依頼だからな。」


「恨みはない。」


レオンは剣を構える。


「だったら、帰ってくれ。」


「断る。」


一瞬で距離を詰めるナハト。


速い。


レオンの目でも追いきれない。


「ぐっ!」


肩をかすめる刃。


その時だった。


**ドン!**


巨大な剣が二人の間へ突き刺さる。


「隊長!」


ガイルだった。


「一人で散歩なんかするな。」


「心配したぞ。」


続いてセリアも駆けつける。


「隊長!」


「無事ですか!?」


レオンは笑った。


「少しかすっただけ。」


セリアは怒ったように言う。


「『少し』じゃありません!」


「血が出ています!」


ガイルはナハトを睨む。


「俺たちの隊長を狙うとは、いい度胸だ。」


ナハトは三人を見て、小さく笑った。


「なるほど。」


「これが八〇〇人を率いる男か。」


「一人ではなく、仲間がいるから強い。」


そうつぶやくと、煙玉を地面へ投げつけた。


**ボンッ!**


白い煙が庭園を包む。


煙が晴れた時には、ナハトの姿は消えていた。


---


翌朝。


王城の会議室。


国王アレクシスは厳しい表情で言った。


「昨夜の暗殺未遂。」


「城の中に裏切り者がいる。」


重い空気が流れる。


レオンは静かに立ち上がった。


「陛下。」


「必ず見つけます。」


「この国を守るために。」


その言葉を聞いたマルクス侯爵だけが、冷や汗を流していた。


(まずい……。)


(このままでは、私までたどり着かれる。)


そして、王国を揺るがす陰謀が、少しずつその姿を現し始める――。


---


## 次回予告


**第十二話「裏切りの侯爵」**


ついにマルクス侯爵の陰謀を追い始めるレオンたち。


しかし、決定的な証拠は見つからない。


そんな中、セリアが命を懸けて敵地へ潜入することを決意する!


「必ず真実を持ち帰ります。」


王国最大の陰謀編、開幕!



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