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# 第十二話 **「裏切りの侯爵」**

# 第十二話 **「裏切りの侯爵」**


王都に冷たい雨が降っていた。


城の会議室では、重苦しい空気が流れている。


机の上には一枚の地図。


そして、いくつもの報告書。


国王アレクシスは静かに口を開いた。


「黒狼の砦へ送られていた食料。」


「その一部が王都から運ばれていたことが分かった。」


部屋がざわつく。


「つまり……。」


レオンが言う。


「王国内に協力者がいる。」


国王は静かに頷いた。


「その可能性が高い。」


しかし証拠はない。


疑うだけでは誰も裁けない。


---


会議が終わると、セリアがレオンを呼び止めた。


「隊長。」


「どうした?」


「私に任せてください。」


レオンは首をかしげる。


「何を?」


「潜入調査です。」


その一言に、ガイルが立ち上がった。


「反対だ!」


「危険すぎる!」


セリアは落ち着いた表情で答える。


「私が一番目立ちません。」


「それに、情報を集めるのは軍師の仕事です。」


レオンは黙って考え込む。


「……危なくなったら。」


「すぐ逃げると約束してくれ。」


セリアは優しく微笑んだ。


「はい。」


---


その夜。


セリアは侍女に変装し、マルクス侯爵の屋敷へ潜り込んだ。


豪華な屋敷。


笑い声。


高価な料理。


だが地下へ続く階段だけは、厳重に警備されていた。


(怪しい。)


誰にも気づかれないよう、静かに地下へ降りる。


そこには木箱が積み上げられていた。


箱には王国軍の紋章。


しかし中身は――


「金貨……。」


さらに奥には、一通の手紙。


> 『黒狼殿。

> 次の標的はレオン・クロード。

> 失敗は許されぬ。』


差出人には、はっきりと書かれていた。


**マルクス侯爵。**


「証拠だ……!」


セリアが手紙を懐へしまった、その時だった。


「誰だ?」


兵士の声。


しまった。


物音を立ててしまった。


「侵入者だ!」


屋敷中に警鐘が鳴り響く。


---


「逃がすな!」


十数人の兵士が迫る。


セリアは細い通路を走る。


「あと少し!」


出口が見えた、その瞬間。


バンッ!


扉が開き、一人の男が立ちはだかった。


マルクス侯爵だった。


「軍師殿。」


「こんな夜更けに散歩ですかな?」


セリアは剣を抜く。


「道を開けてください。」


侯爵は笑う。


「その手紙を渡していただければ。」


「お断りします。」


「ならば。」


侯爵は兵士たちへ命じた。


「捕らえろ。」


---


一方その頃。


駐屯地では、レオンが落ち着かず空を見上げていた。


「遅い……。」


ガイルが剣を担ぐ。


「嫌な予感がする。」


その時、一羽の白い鳥が飛んできた。


セリアが訓練していた伝書鳥だった。


足には、小さな紙が結ばれている。


レオンは急いで開く。


そこには、たった一行。


**『証拠を入手。追われています。』**


レオンは紙を握り締めた。


「総員、出撃!」


兵士たちが一斉に立ち上がる。


「隊長!」


「目標はマルクス侯爵の屋敷!」


「セリアを助ける!」


「急げ!」


八〇〇人の兵士たちは、夜の王都を駆け抜けた。


誰一人、仲間を見捨てないために。


その頃、屋敷の地下では、セリアが壁際まで追い詰められていた。


「もう逃げ場はありませんよ。」


マルクス侯爵がゆっくりと歩み寄る。


しかし、その瞬間――。


**ドォォォン!!**


屋敷の正門が大きな音とともに吹き飛んだ。


外から聞こえてきたのは、聞き慣れた声。


「セリア!」


「迎えに来たぞ!」


レオンだった。


セリアは思わず笑みを浮かべる。


「……やっぱり来てくれましたね。」


---


## 次回予告


**第十三話「八〇〇人、王都を駆ける!」**


レオン率いる八〇〇人が、セリア救出のため侯爵邸へ突入!


ついにマルクス侯爵との決着の時が訪れる。


だが、その裏では王国全体を巻き込む、さらに巨大な陰謀が動き始めていた――。


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