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次が決勝か。
早いな。
まぁ、十人ちょっとしかいないんだから当然か。
さて、対戦相手は――
そう思って視線を向けた瞬間、僕は少しだけ固まった。
銀髪。
なんか見覚えのあるエルフだ。
「……」
不思議だった。
前よりも、その目を見れる。
相変わらず綺麗な目だ。
濁りが一切ない。
真っ直ぐで、眩しくて、だから少し苦手だ。
僕たちは無言のまま向かい合う。
周囲の歓声が遠く聞こえた。
そして。
「最終試合。ティア対レイン――開始!」
その瞬間、ティアが詠唱する。
「火の精霊よ――我が敵を焼き払え!」
来た。
巨大な火球。
前に見た時と変わらない。
いや、むしろデカくなってない?
(何回このエルフに死を覚悟させられるんだよ……!)
僕は慌てて横へ飛ぶ。
火球が地面に直撃した瞬間、爆音と熱風が訓練場を揺らした。
当たったらに死ぬ。
本当に死ぬ。
だが――
(覚悟するのもこれで最後なんだろう…)
僕は歯を食いしばりながら、ティアへ油魔法をぶちまけた。
火属性相手に油まみれ。
普通ならもう火属性の魔法は使えない。
だが。
ティアの周囲に風が渦巻く。
次の瞬間、油が全部吹き飛ばされた。
「うわ、最悪」
風魔法。
油魔法と相性が悪すぎる。
というか、僕と相性が悪い。
けど、幸いなことにティアは純粋な魔法使いだ。
距離を詰めれば勝機はある。
僕は一気に踏み込む。
地面を蹴る。
剣を握る。
だが、
「風よ」
短い詠唱。
その瞬間。
風が爆ぜた。
「っ!?」
体が浮く。
視界が回転する。
次の瞬間には、地面を転がっていた。
「ガフッ……!」
肺の空気が全部抜ける。
普通に痛い。
僕は咳き込みながら、なんとか顔を上げた。
そこには、杖を構えたままのティアがいた。
銀髪が揺れている。
やっぱり強い。
意味が分からないくらい強い。
(……はは)
少しだけ笑いそうになる。
前から、こうだった。
僕が必死に考えて、生きる術を身につけても後からの癖にこいつは、才能で平然と僕の上に行く。
「……でも」
僕は剣を握り直す。
まだ終わってない。
終われるわけがない。
なぜならこの試合には僕の希望、金貨十枚がかかっているのだから。




