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「勝者、レイン」


審判の声が響いた。


僕はとてもいい気分だった。


体が軽い。


さっきまでの面倒なことが、全部どうでもよくなるくらいには。


けど、


視線が痛い。


横を見る。


銀髪のエルフと、騎士団長。


どっちも、なんとも言えない顔をしていた。


引いてる。


かなり。


「騎士のやる事ではない……」


騎士団長が小さく言った。


(聞こえてますけど。)


僕は少しニヤけた口を直しながら、そのまま席へ向かう。


横を通る。


担架。


その上に、さっきのキノコ――アヒージョ君。


泣いていた。


回復魔法をかけられているが、やられた心だけはペチャンコなままだった。


(いや、髪もペチャンコか)


どうでもいいことを考える。


そのまま通り過ぎる。


適当な席に座る。


ふぅ、と一息。


静かになる。


やっぱダメだ。


さっきまでの気分が、少しずつ落ちていく。


代わりに、別のが浮かぶ。


馬車の中でのティアの顔。


「……」


別に、謝られた。


ちゃんと。


それは分かってる。


(あいつなりに、ちゃんとしてたな)


そこは否定しない。


けど、


(……まぁ、ああいうのだよな)


少し間が空く。


揉めるのが面倒だから。


これ以上悪くならないように。


だから、一応、謝っとく。


そういうやつ。


(別に悪いわけじゃないけど)


むしろ普通だと思う。


僕でもそうするかもしれない。


「……」


少しだけ、胸の奥が引っかかる。


あの時も、少しは考えたけど、そこでやめた。


そのまま流した。


でも、今は一人だ。


逃げる必要もない。


(……あー)


なんとなく、形になる。


(僕、もうあいつと友達じゃないんだ)


言葉にすると、妙にしっくりくる。


納得もできる。


(まぁ、仕方ないか)


あっちが嫌なら、どうしようもない。


無理に続けるもんでもないし、

迷惑かけてまで、関わる理由もない。


そこまで厚かましくもない。


「……」


少しだけ、間が空く。


(……普通に、楽しかったけどな)


ぽつっと出る。


それ以上は続かない。


僕は軽く息を吐いた。


考えるのは、ここまで。


顔を上げる。


次の試合が始まっていた。


さっきより、少しだけつまらなく見えた。

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