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僕たちは、白耀聖騎士団本部の中にある訓練場へ連れて行かれた。


広い。


そして無駄に綺麗だった。


床は磨かれ、壁には傷一つない。


訓練場というより、金のかかった処刑場みたいだった。


(税金すごいな……)


本日二度目の感想である。


どうやら試験は、一対一のトーナメント制らしい。


順番に戦い、最後まで勝ち残った者が一位。


実に分かりやすい。


そして僕の一回戦目の相手は――


キノコ頭のボンボン野郎だった。


丸く整えられた茶色い髪。


高そうな制服。


無駄に姿勢がいい。


育ちの良さが腹立つほど滲み出ている。


しかも、英雄コース所属らしい。


(……これは侮れないな)


嫌なタイプだ。


金も才能もありそうである。


僕は壁際で深呼吸した。


「よし、今から準備して――」


そこまで言った瞬間だった。


「雑兵レイン。試合だ」


声が響いた。


アウレリアだった。


余計な二文字をしっかり付けて呼んできた。


(まだ準備してないんだけど…

てか雑兵って言うな)


周囲から少し笑いが漏れる。


腹立つ。


だが、仕方ない。


やるしかないのだ。


歩きながら考える。


……いや、待て。


本気でやる必要あるか?


こんな雑兵差別の激しい騎士団だ。


見学しても息苦しいだけだし、何より僕は今、人生について整理したい時期である。


ここは少し手を抜いて、


無難に負けて、


隅で時間を潰すのも悪くない。


そう思った、その時だった。


アウレリアが腕を組み、全員へ向けて言い放つ。


「ただ試験しろと言われても、乗り気ではあるまい」


珍しくまともなことを言った。


「よって、この試験で一番になった者には――」


少し間を置く。


「金貨十枚を与える」


空気が変わった。


ざわめきが走る。


僕の心も走った。


(……金貨十枚?)


目の前が明るくなる。


人生整理とかどうでもよくなった。


ティアとの気まずさもある意味消えた。


雑兵差別も一旦保留だ。


大事なのは金である。


僕はゆっくりとキノコ頭を見る。


相手もこちらを見ていた。


爽やかな笑みだった。


気に入らない。


(よし)


(まずは目の前にいるこのキノコ野郎をぶっ殺すところからだ)


拳を握る。


(僕の油魔法で、こいつをキノコアヒージョにしてやる)

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