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扉の先にいたのは、ティアだった。
銀髪。
見間違えるはずもない。
向こうもこちらに気づく。
目が少し開かれた。
「レイン……なんでここにいるの?」
驚いたような声だった。
責めるような色はない。
それが逆にきつい。
(なんでこうなるんだろう……)
僕は下を向いた。
頭の中が止まる。
何か言った方がいい気もする。
でも、何も出てこない。
そのまま固まっていると、アルベルトが事情も知らず朗らかに笑った。
「おお、君たちは知り合いか!」
嫌な予感がした。
「ここから馬車で騎士団の施設へ向かう予定でね。同じ馬車にしておくが、いかがかな?」
(それは流石に死ぬ)
心の中で即答した。
だが、声には出ない。
ティアは少しだけ僕を見て、
真剣な顔で言った。
「はい。そうしてください」
それを聞いた瞬間、
「え、」
言葉がこぼれた。
⸻
それから少しして、
教会で拒絶反応が出る者たちが一つの部屋に集められた。
東方の装束を着た者。
耳飾りの多い海の民らしき者。
木の枝を編んだ首飾りをつけた者。
見た目だけでも、かなりばらばらだった。
(なんで、こいつら制服着てないんだよ……)
僕は端の方で気配を消していた。
ティアは少し離れた場所に立っている。
近くもなく、遠くもない。
絶妙に気まずい距離だった。
(帰りたい)
前に立ったアルベルトが、軽く手を広げる。
「皆さん、こんにちは」
穏やかな声が部屋に響いた。
「私はアルベルトと申します。この教会で司教を務めております」
何人かが小さく頭を下げる。
僕もなんとなく下げた。
「皆さんは、我らが信仰する女神の信徒ではないため、教会へ入ると拒絶反応が出てしまいます」
(僕、拒絶反応っていうか入場拒否なんだけど)
アルベルトはにこやかに続けた。
「そこで本日は、特別学習として――」
少し間を置く。
「我ら聖導国が誇る、《白耀聖騎士団》の見学、そして体験をしていただきたいと思います」
部屋の空気が少し変わった。
周りから小さなどよめきが起こる。
有名なのだろう。
僕はよく知らない。
(体験って、嫌な予感しかしないな)
そう思った瞬間、
ティアと目が合った。
すぐ逸らした。
(今から腹痛って言おうかな……)




