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僕は聞いていなかったが、どうやら校外学習があるらしい。しかも今日。
一週間の、聖導王国ルミナリアでの滞在。
宗教国家だとか、でかい教会があるとか、そんな話をどこかで聞いた気がする。
最新の魔道列車で一瞬で着くらしい。
(……いや、待て)
用意なんてしていない。
(まずいんですけど)
少しだけ考えて、椅子を引く。
(……急ぐしかない)
立ち上がる。
(魔道列車、乗り遅れたら洒落にならん)
列車に乗り込んだところで、見慣れた顔が目に入る。
「お、レイン」
カイルが手を上げる。
隣にはミレイ。
少し間を置いて、そのまま近くの席に座る。
「間に合ったのかよ」
「……まあ、なんとか」
適当に返す。
ミレイがこちらを見る。
「大丈夫?昨日からちょっと変だったけど」
(……)
「ああ、大丈夫。別に何もない」
それで会話が切れる。
カイルが何か言っている。
「急すぎだろ今回」「準備とか――」
「へぇ」「そうなんだ」
短く返す。
会話は続いている。
窓の外を見る。
景色が流れていく。
(……すごいな)
少しだけそう思って、視線を外に戻す。
列車が止まる。
流れに合わせて外に出る。
目の前にあったのは、白い建物だった。
高い。
広い。
無駄がない。
全部が白で統一されている。
静かで、整っている。
周りから声が上がる。
「でっか……」
「これが教会かよ」
「神聖王国って感じだな」
声が通り過ぎる。
(あー、これまたすごい建物ですだー)
軽く思う。
(中はどうなってるのかとくとご拝見)
流れに合わせて歩く。
前のやつについていくだけで進む。
入口が見えてくる。
白い門。
開かれている。
誰も止めていない。
そのまま、足を出す。
止まる。
(……ん?)
一歩、進まない。
出しているはずなのに、進まない。
もう一度、足を出す。
やっぱり進まない。
コツ、と
何かに触れる感触があった。
何もないはずの場所で。
(……なんだ、これ)
手を前に出す。
触れている。
確かに、何かに。
けれど、見えない。
押す。
動かない。
横を見る。
他のやつは普通に中へ入っていく。
止まっているのは、自分だけだ。
(……)
もう一度だけ、試す。
やっぱり、入れない。
少しだけ、眉が寄る。
(……なんで)
考える。
まとまらない。
言葉にならない。
白い建物の奥が、少しだけ見える。
光が差し込んでいる。
その前で、
足が止まったままだった。




